1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:16:48.32 ID:SluoaBc3o
彼は全身が鉄でできている以外は至って普通の人間だったので
当然普通の人間がそうするように笑っていたのだけれど、
なにせ顔も鉄でできているために
その度に彼の顔は耳障りな音を立てながら大きく軋んだ。
その引きつった笑顔はどう見ても怒っているようにしか見えなくて、
彼が笑うと周りの人はみんな小さく悲鳴を上げて逃げていった。
誰も彼を怒らせたくはなかったのだ。
彼に殴られると、多分痛いじゃ済まないだろうから。
だからいつ頃からか、彼は全く笑わないようになった。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:20:39.81 ID:SluoaBc3o
明らかに人間離れしたその外見が恐ろしかったのか、
彼に積極的に関わろうとする人なんて誰もいなかった。
両親ですら彼を腫物のように扱った。
彼らだってどう接していいのかよく分からなかったんだろう。
それでも彼を捨ててしまおうなどと思い至らなかっただけ
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:25:13.98 ID:SluoaBc3o
道を行くと、例えそこが人ごみであっても
彼の周囲にはぽっかりと隙間ができた。
多くの人々が彼には近寄らないようにしながら、
そして恐怖と好奇心がないまぜになった視線で彼のことを眺めた。
檻から解き放たれた猛獣にでもなったかのような気分になって、
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