過去ログ - 全身が鉄でできている人の話
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61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:03:40.67 ID:SluoaBc3o



大学を卒業しても、始めは彼の日々の過ごし方は特に変わらなかった。

以下略



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:07:39.68 ID:SluoaBc3o
自立の見込みはすぐに立ち、彼は自宅からそう遠くない場所に
アパートを借りることにした。
六畳一間の狭苦しい、しかし幼い頃から夢に描いた
自分一人だけの空間を彼はようやく手に入れた。

以下略



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:12:36.59 ID:SluoaBc3o
部屋の静けさに、彼は耐えられなくなってしまった。

頭の奥で響き続ける耳鳴りに彼は苛立ちを抑えきれなかった。
テレビの番組も、スピーカーから流れる音楽も、
この静寂を打ち消してはくれなかった。
以下略



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/02(土) 21:16:01.70 ID:tvCb4PJDO
心が軋んだか


65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:16:03.33 ID:SluoaBc3o
そのうち、彼は街をフラフラと彷徨うになった。

なんてこった。
前までは別に平気だったってのに。

以下略



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:19:25.86 ID:SluoaBc3o
落ち着きなく視線を動かしながら道を歩く。
目が合う人がいる。
彼は笑いかけてみる。
ギシ、と大きな音が鳴る。
向こうは決まって脅えたような表情になり、
以下略



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:22:54.21 ID:SluoaBc3o
少しずつ彼の身体は錆び付いて、上手く動かなくなってきた。
どうやら自分も老いているらしい。
ということは、俺もちゃんと死ねるんだろうか。

いつかの会話を思い出して、彼は薄く笑う。
以下略



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/02(土) 21:24:43.22 ID:6qyYGGOY0
一気にとし食ってきたな


69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:26:14.44 ID:SluoaBc3o
年々身体は酷く軋むようになっていく。
耳障りな音をかき消してくれる甲高い笑い声はもう聞こえない。
冷えた左手は冷えっぱなしだ。

彼はそれでも歩き続けた。
以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 21:29:37.32 ID:SluoaBc3o

以上になります。
ここまで読んで下さった方々、
どうもありがとうございました。


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