8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:53:26.63 ID:SluoaBc3o
彼はゆっくりそのベンチに腰掛けて、それが自重で壊れてしまわないことを注意深く確認した。
それからため息を深くついて、この新しい秘密基地の景色を改めて眺めた。
亀裂を埋めた痕跡が所々残る校舎、苔むした地面、ドロドロになった排水溝、そして冷たいベンチ。
このじめじめした薄暗い空間は、たいそう彼の気に召した。
これでやっと、一人きりになれる。
彼は鞄から文庫本を取り出して、ページを開いた。
そのベンチの座り心地は随分しっくりときて、
久しぶりに彼は心から安らいだ気分になった。
その安らぎは、そう長くは保たなかったけれど。
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