29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/03(日) 11:06:46.67 ID:fJccHN/40
些細な異変でした。
合わせ鏡の様に立ち並んでいた寮の個室の扉。
そのうちのひとつが、ほんの僅かに開いている。
閉まっていない、という表現の方が正しいかもしれません。
夜も更け、空調以外音の無い静謐な空間で――噛み合わさっていないその扉だけが、殊更異質に思えました。
翠「私が閉めておく――だけでは不用心ですね。施錠するよう伝えないと」
もうお休みかもしれないという意識もあり、少し立ち止まっていましたが――結局私はそのドアノブに手を伸ばしていました。
今にして思えば余りにも不躾な行動でしたが、携帯電話を取り出して連絡するという、どうということもない手間を嫌ったのでしょう。
そうしてドアをゆっくりと押し開き、首だけを滑り込ませ、部屋の主へ呼び掛けようと息を吸い込みました。
吸い込んだ時でした、
それが聞こえたのは。
……っ!!
翠「――?」
玄関の奥、部屋に続いている扉の向こうから、何か。
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