過去ログ - とある幻想の一撃男(とある×ワンパンマン)
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/03(日) 05:17:58.90 ID:g4FKKuxko
 その瞬間。
 パシッと小さな音が響き渡った。

「……!」

 神裂は思わず飛び退いて距離を置く。
 いくら手加減をしていたとはいえ、一般人には何をされたかすら分からないはずだ。ならば、何故自身の攻撃が受け止められたのか。その答えは単純明快だ。

「手ぇ抜くのは構わないけどよ……それで勝てると思うなら、その幻想をぶち殺すぞぉ!!」

「が、あっ……!!」
 バックステップで下がった神裂との距離を一瞬の間に詰めた上条は、その右手を彼女の腹部へと叩き込んだ。その一撃を受けた彼女の身体は大きく持ち上がり、神裂は思わず肺から息を吐き出した。
「へえ……一撃でやられなかったのは、アンタで三人目だよ。俺は上条当麻ってんだ、アンタは?」
 まるでトラックのタイヤでも叩いたかのような感触だった。
 そんなモノを殴って平然としている上条も大概であるが、彼の一撃を受けてこの場に立っている彼女もまた異常である。
 彼女の持つ強さを肌で感じた上条は素直にそれを讃えながら名乗りを上げた。敵には容赦しないが、認めた者にはいくらか寛容になるものだ。
「はっ、はっ……私は、神裂火織と申します。まさか東洋の島国で私にこれ程のダメージを与える者が居るとは思っていませんでした……先ほどの無礼を謝罪します」
 息を整えた神裂は、相手の力量も察せずに加減してしまった事に謝罪をして、スッと背筋を伸ばした。
 先ほどまでのダメージがなかったかのような綺麗な姿勢で刀を構える。
「ですので、これからは全力を尽くします。貴方を打倒する為に―――救われぬ者に救いの手を《Salvere000》!!」
 魔術師が相手を殺すと誓った際に言い放つ、殺し名―魔法名というものがある。“救われぬ者に救いの手を《Salvere00》”は神裂にとっての魔法名であり、その名乗りこそが全力の証でもあった。
 十メートル程の距離を置いて、神裂は七天七刀を横薙ぎに振るう。インデックスからしたら、右腕がぶれたようにしか見えなかっただろう。
 七閃とは見えない斬撃で、一瞬で七度殺す事から七閃と呼ばれている。
 その名に相応しい速力で以って、地面を抉りながら上条へと襲い掛かった。

「なんだこりゃ、ワイヤーか?」
「ッ……!!」
 凝らすように目を細めた上条は、太陽に反射する細いワイヤーが向かってくるのを視認していた。ワイヤーを掻い潜って一歩ずつ距離を詰めていく。
 ギュッと強く右手を握り締め、じりじりと間を縮めていく上条に対して、神裂は得体の知れない恐怖を抱いた。恐怖は動きを鈍らせ、七閃の切れ味を一瞬にして弱らせる。

 距離が、手の届く所まで縮まった。


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