過去ログ - 雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」
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867: ◆itPh.0zEvU[saga]
2016/01/26(火) 21:45:36.76 ID:tX7rDgyN0
八幡「……まあ二人がいいんなら」

結衣「うん!」

楽しそうに笑う由比ヶ浜を先頭に三人で廊下を歩く。昇降口に行く途中途中で雪ノ下は職員室へ行くために一旦分かれる。

昨日と同じように由比ヶ浜と二人きりだ。

由比ヶ浜は俺の様子を伺うようにチラチラとこちらを見ながら話を切り出した。

結衣「ゆきのんにはもう言ったんだけど、明日優美子たちと遊ぶから来れないかも……」

八幡「そうか、分かった」

業務連絡を速やかに終わらせる。こういうのは無駄に時間かけるもんでもないしな。

由比ヶ浜の方を見ると、さっと目を逸らされた。そのまま由比ヶ浜が俺に質問をしてくる。その声はなんとなく寂しげに聞こえた。

結衣「ヒッキーはさ、例えばゆきのんが奉仕部以外の人たちと遊ぶようになったら……どう思う?」

八幡「……とりあえずまず驚く。あいつが俺たち以外……ってよりは由比ヶ浜以外と遊ぶ姿が想像できないからな」

結衣「だよね。驚くし……あたしは寂しい、かな」

八幡「…………」

俺は何も言わない。その間を埋めるように由比ヶ浜が言葉を続ける。

結衣「最近気づいたんだけどね、あたしってすごい欲張りなんだ。奉仕部での時間も優美子たちと遊ぶ時間も全部欲しい。……何も捨てたくないし、何も諦めたくないの」

昇降口に着き、俺たちの足は止まる。けれど由比ヶ浜の言葉は止まらない。

結衣「でも届かないって分かっちゃったら、諦めなきゃいけないものってあるからさ……」

彼女は視線を俺へ向ける。俺は目を逸らすことができなかった。

諦めなければならないもの。それが『物』なのか『者』なのか。何について言っているのか。

……確証はないし確定もしていないが、おそらく俺はそれを知っている。

あの日から、知っている。

結衣「ゆきのんのこと、お願いね」

八幡「……っ」

手に入らないのなら、せめて諦められるくらいに遠くへ。

そういうことなのだろうか。だが、ここで聞いたところできっと彼女は答えを教えてはくれない。

だから、自分に問うしかない。

遠くから足音が聞こえてくる。まもなく、雪ノ下の姿が見えた。

雪乃「待たせたわね」

結衣「そんな待ってないよー。よし、じゃあレッツゴー!」

さっきまでの空気を吹き飛ばすように、由比ヶ浜は元気に歩き出す。思えば三人で帰るのはかなり珍しいかもしれない。

校門まで来たあたりでなんとなく振り返って校舎を見る。夕陽に染まる校舎は哀愁を漂わせていて、いつか来る終わりを連想させる。

俺たちがここの生徒でいられるのだって、そう長くはない。そのあと、俺たちは今のままではいられないだろう。

雪乃「比企谷君?」

結衣「ヒッキー?」

八幡「……ああ、悪い。今行く」

先を行っていた二人に早足で追いつく。

三人でいるこの風景を、俺はあと何回見ることができるのだろうか。


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