過去ログ - 雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」
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933: ◆itPh.0zEvU[saga]
2016/05/01(日) 21:21:32.13 ID:0Wnj0Qzk0
俯いた彼女は声を震わせながらそう言った。やがて小さな声で話始める。

雪乃「この気持ちを伝えようと思って何度も挑戦したけれど……いつも怖くなってなにもできないままだったわ。けれど、由比ヶ浜さんがくれたこの機会を無駄にしてはいけないと思って……それでも、言うことが出来なかった」

雪ノ下の手は震えている。声も先程より震えているが、彼女はその独白を続ける。

雪乃「それでも……どうしても私から伝えたい。今まで雪ノ下家の娘として生きて、姉さんの後を追って……誰かの真似をして誰かに頼りきりになってきた私が、自分の意志で伝えたいと思った気持ちなの。あなたから言われてしまったら、きっともう、これからずっとあなたに甘えてしまう。……そんな偽物はいらないわ」

言い終わった彼女はゆっくりと俺の方へ顔を向けた。俺を見る瞳から逃げないように、俺もまっすぐ雪ノ下を見る。

雪乃「比企谷君。私は……私はあなたのことが……」

夜空に浮かぶ月が雪ノ下のことを照らしだすおかげで、彼女の姿がよく見える。

震える手も。赤く染まった頬も。

俺に向けられた優しい笑顔も。

雪乃「好きです。私と付き合ってください」

かっこいい返事なんてできないし、気の利いた返しもできない。

だからせめて、心のままに伝えよう。

八幡「俺も雪ノ下のことが好きだ、大好きだ。俺とずっと一緒にいてくれ」

雪ノ下は俺の直球な言葉に驚いたのか、固まっていたが……少ししてから涙を流し始めた。

八幡「ゆ、雪ノ下……?」

雪乃「……嬉しくて……涙を止められないの……」

八幡「……そうか」

そう言って、雪ノ下は涙を流し続けた。俺はなにを言うでもなく、ただ静かにそれを見守る。

ひとしきり泣いて落ち着いた雪ノ下が、再度俺を見つめてくる。俺もまた見つめ返した。

どれだけの時間そうしていただろうか。まっすぐ見つめあっていた俺たちは、どちらからともなく顔を近づかせ始めた。

ゆっくりと、ゆっくりと近づいていく。言葉通り目と鼻の先のところに雪ノ下の顔が来る。彼女の瞳に写る俺の姿が見えるほど近い、そんなことに今更ながらに心拍数が上がっていく。

雪ノ下が俺に全てを委ねるように瞳を閉じた。

心臓の音を聞きながら、彼女へ近づいていく。

そして俺は雪ノ下と──唇を重ねた。

MAXコーヒーの味がした俺たちのファーストキスは、けれどMAXコーヒーよりも甘いものだった。


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