過去ログ - 「あっしがおっ死んじまった話」
1- 20
38: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 22:57:44.75 ID:RwDKkIVo0
……フウウー……ウウーウウ……。

アッ、こいつあイケネエ旦那。あっしとした事が、ついウトウトと居眠りコイてたみてえで。
失礼、ドウモ……葉巻があんまりにも上等なモンですから……ヘヘ……。
亜米利加(アメリカ)のハッパでげすか?ヘエ……道理で……。
以下略



39: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:01:08.38 ID:RwDKkIVo0
しがない田舎の庭師であるあっしが、ヒョンな事から自身が仕える若様の、悪魔のような一面を……赤煉瓦の地獄を……極楽浄土を……見ちまったという話でしたな。
ソイツを見ちまったモンで、あっしは腰を抜かして赤煉瓦から転がり落ち、一目散に自分の部屋へと逃げ帰ったという話でしたナ。
無論、ムロン、覚えております。ヘヘヘ……ナニ、物語にはこういう『タメ』も、必要なモンでげして。
ここからです……このキタネエあっしの部屋から、全ては終わるんで。

以下略



40: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:03:50.77 ID:RwDKkIVo0
自分の部屋へと帰ったあっしですが、煎餅布団を頭からヒッ被っても、ドウにも眠れやしねえもんです。
長い長い山道を走ったばかりだというのに、あっしは汗一つかかず、代わりにガタガタ震えてやがるんです。
目をつぶると先ほどの地獄が……極楽浄土が……脳裏をよぎります。

毎日毎日お仕えしている、柔和な顔をした若様が、アンナ地獄を見て茶をススってるモンですから……そりゃアもう怖くて怖くて……。
以下略



41: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:06:05.23 ID:RwDKkIVo0
忘れようとしても、簡単に忘れるモンでは御座いません。
暗闇の中に、裸でまぐわう男女の姿が浮かびやがるモンですので。ハァ。
あっしはそのタンビに目をコズり、アレは夢だと言い聞かせるんです。

しかし……田舎モンのあっしって奴ァ、女の味もそう深くは知らないモンでげして。ヘヘ……。
以下略



42: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:08:05.80 ID:RwDKkIVo0
グワングワンと世界が揺れて、ドウラ、これなら良く眠れそうだワイ……と……。
そう思った矢先であります。……フウーッ……。

……こん、と音がね。……響いたんでゲス。

以下略



43: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:11:12.13 ID:RwDKkIVo0
あっしの心臓はそれアもう……恐ろしい早さで鳴っておりましたよ。
ズウタイはデカくともキモは羽虫ときております……ハハハ……。
あっしは身動ぎ一つせず、ジッと扉を見ておりました。

サテハ、あっしに気付いた若様が、追いかけてきたのではあるまいナ……。
以下略



44: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:13:06.03 ID:RwDKkIVo0
「お兄さま……お兄様。……一体、ドウかされましたか?」

……ナンて事ァありません。ミチコです。……あっしの妹の、ミチコの声なんです。
ミチコがあっしの部屋の扉を、コンコンと叩いておったのです。


45: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:15:49.37 ID:RwDKkIVo0
あっしはスッカリ安心しきって、オウ、と声をかけようとしました。
しかし……ドウにも声が出ない。

ドウヤラ赤煉瓦の上で腰を抜かした拍子に、声を落っことしちまったヨウで……。
唇を舐めあげようにも、舌までガチガチに固まっておりましてナ。
以下略



46: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:17:53.91 ID:RwDKkIVo0
「応。ミチコか。おれはここだ」

自分でも驚くくらいに、落ち着き払った声が出やした。
お水ってエのは偉大でして……何も余計なモンなんぞ無いのに、コウも人を生き生きとさせちまうモンなんですから。
人生の最後に飲むモンは、酒や果汁では無く水であるべきですナ……。
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/09(土) 23:20:35.24 ID:qqpkj75yo
お、久作ゥー!


48: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:21:03.04 ID:RwDKkIVo0
「アア、お兄様、お兄様。良かった……お変わりありませんか」

扉の向こうで、ホッとしたような声がします。
これが、ナントモ可笑しな言葉でげして……。
チョット部屋に引っ込んだ実の兄が、一晩で支那人に変わるハズがありませんでしょう。ハハ……。
以下略



120Res/47.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice