過去ログ - 「あっしがおっ死んじまった話」
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42: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:08:05.80 ID:RwDKkIVo0
グワングワンと世界が揺れて、ドウラ、これなら良く眠れそうだワイ……と……。
そう思った矢先であります。……フウーッ……。

……こん、と音がね。……響いたんでゲス。

以下略



43: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:11:12.13 ID:RwDKkIVo0
あっしの心臓はそれアもう……恐ろしい早さで鳴っておりましたよ。
ズウタイはデカくともキモは羽虫ときております……ハハハ……。
あっしは身動ぎ一つせず、ジッと扉を見ておりました。

サテハ、あっしに気付いた若様が、追いかけてきたのではあるまいナ……。
以下略



44: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:13:06.03 ID:RwDKkIVo0
「お兄さま……お兄様。……一体、ドウかされましたか?」

……ナンて事ァありません。ミチコです。……あっしの妹の、ミチコの声なんです。
ミチコがあっしの部屋の扉を、コンコンと叩いておったのです。


45: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:15:49.37 ID:RwDKkIVo0
あっしはスッカリ安心しきって、オウ、と声をかけようとしました。
しかし……ドウにも声が出ない。

ドウヤラ赤煉瓦の上で腰を抜かした拍子に、声を落っことしちまったヨウで……。
唇を舐めあげようにも、舌までガチガチに固まっておりましてナ。
以下略



46: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:17:53.91 ID:RwDKkIVo0
「応。ミチコか。おれはここだ」

自分でも驚くくらいに、落ち着き払った声が出やした。
お水ってエのは偉大でして……何も余計なモンなんぞ無いのに、コウも人を生き生きとさせちまうモンなんですから。
人生の最後に飲むモンは、酒や果汁では無く水であるべきですナ……。
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/09(土) 23:20:35.24 ID:qqpkj75yo
お、久作ゥー!


48: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:21:03.04 ID:RwDKkIVo0
「アア、お兄様、お兄様。良かった……お変わりありませんか」

扉の向こうで、ホッとしたような声がします。
これが、ナントモ可笑しな言葉でげして……。
チョット部屋に引っ込んだ実の兄が、一晩で支那人に変わるハズがありませんでしょう。ハハ……。
以下略



49: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:23:17.15 ID:RwDKkIVo0
……ナンともまあ、イヤな所を見られたモンで。
地獄から逃げ帰った所なんざ、カカアにも見られた事が無エってえのに……。
フウーッ……。
……旦那も男ならわかりましょう?
尻尾を巻いて逃げ出した所を、見られちまった恥ずかしさ……虚しさ……心苦しさを……。
以下略



50: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:25:43.03 ID:RwDKkIVo0
あっしの声は震えておりました。

「何でもナイ……ナンでもナイんだよ……」

「嘘です。お兄様……一体、ナニがあったので……?」
以下略



51: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:28:06.91 ID:RwDKkIVo0
「お兄様……最愛のお兄様、タッタ一人のお兄様。……幼くして両親を失ったあたしを、大切に育てて下さいましたお兄様。……あたしは、お兄様のタッタ一人の妹です。……お兄様のタッタ一人の家族なのです。……あたしは、苦しむお兄様のお力になりたいのです……どうか、ドウカ……扉をお開け下さい……お兄様の苦しみを、あたしにもお預け下さい。ドウカ……」

……なんともいじらしい……美しい娘でしょう……。
一人、地獄を見ちまったモンで苦しむあっしにとって、その言葉は暖かいものでして……。
今すぐ抱きしめてやりたいと思いました。……涙を拭いてもらいたいト……。
以下略



52: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/09(土) 23:30:50.49 ID:RwDKkIVo0
トタンに、鍵を開けた事を後悔しました。

月明かりに照らされたミチコは……濡れた髪を後ろで結った妹は……。
……美しすぎたのです。輝かしく……麗沢(つややか)で……ナマメかしい……。

以下略



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