過去ログ - 絵里「その花の色は海のよう」
1- 20
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:41:57.29 ID:PqSllGERo

 少し離れると、
 あの子が細い指を二本ほど揃えて伸ばして
 はみ出た花と葉に触れてる姿がはっきりと見える。

 肩から垂れた黒く艶やかな髪の毛先が
 ときどき風に小さく揺れて、
 膝元の花に触れたり横顔を隠してしまったりもする。

 うだるような暑さのなか、
 蝉の音は遠のいて、
 もう耳に刺さるほどではない。

 白い小さな耳たぶが
 寄せては返す髪のなかで見え隠れして、
 いつか見た波打ち際を思い出したとき、
 ああ、
 だから「うみ」なんだ、
 と勝手に納得してしまった。

 それは絵はがきにでもしたいほど映える光景で、
 でももし、
 そんな絵はがきがあったとしても、
 私は誰にも宛てることなく机の奥へしまい込んでしまう気がする。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
58Res/29.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice