88: ◆oZf06d53Imn3[saga]
2014/08/30(土) 19:43:26.57 ID:svq1J3rwo
「……どうかしたのですか?」
綺麗な瞳だなぁと思っていました。
虹彩が鮮やかで、きらきらしていて、なんだか宝石みたいだなぁと、ふわふわとした意識の中で考えていました。
「ど、どうしたのですか?花陽?…花陽?」
すると、みるみる内にその瞳が歪んでいきました。なんだかそれさえも美しく思えてしまうような不思議な気分。
けど……
「あぁ、やっぱりどこか痛いのですか?痛かったら素直に言ってください。きっと私の責任です……」
歪んだ瞳はどんどん不安一色に染まっていきます。ようやく、その瞳に見蕩れていた自分に気づいて我に返りました。
「大丈夫。大丈夫だよ…………ちょっとだけ、痛かったけどね」
ちょっとだけ、意地悪。
もう少し、その色鮮やかな変化を見てみたいと思っちゃった。
「ああっ、花陽、ごめんなさい。私は勝手がわからなくて。その……自分でも試したことが無かったものですから」
想像通り、不安一色の顔がさらに不安の大洪水へと変化していきました。
痛かったのは事実だけど、でも本当はそんなことさえ嫌じゃなかった。
「ふふっ、冗談だよ。本当に大丈夫だから。この世の終わりみたいな顔しないで海未ちゃん」
「ですが……花陽の大切な身体んんっ」
キス。
キス、キス、キス。
いじわるしちゃってごめんね、海未ちゃん。
その気持を、くちづけで伝える。
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