過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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69: ◆WHzNz9zb1A[sage]
2014/10/30(木) 01:05:57.36 ID:D7epLHdAO
叢雲「私は構わないわ。ただ、そこの担当官殿より詳しく分かり易く話す自信は無いけれど……?」

グラハム「君達艦娘は、深海棲艦に対して対抗しうる唯一無二の存在だ」

グラハム「深海棲艦が地球規模の脅威であることは……君達が少女の外見と性格をしているにもかかわらず、第一線で戦うことが社会的に容認されていることからも伺える」

グラハム「認めよう。君達はこの世界になくてはならない抑止力だ」

叢雲「……どうも」

グラハム「だからこそ、君に問おう」

グラハム「何故、戦う?」

グラハム「君が、そして分かるならば君たちが。強大な存在である深海棲艦と戦おうと決意するに至った理由は、何だ?」

叢雲「……何故……って…………?」


 ――言葉に詰まった。
 艦娘だから、戦えるのだから、奴らと戦うのは当たり前だ。そう言おうともしたが、多分違う。
 彼が聞きたいこととも、私自身の理由ともだ。
 何故、戦うのだろう?


グラハム「……言えないかね?」

叢雲「……っ」

グラハム「だろうな。君の眼は、まだ戦士のそれではない。乙女のそれだ」

叢雲「なっ……!」

グラハム「勘違いをしたなら謝ろう。君が戦いに不適格だと言ったわけでない、だが」

グラハム「……戦う理由を言葉に出来ない以上、戦場に出ればいずれ心が死ぬ」

叢雲「っ……!」


 私はまだ戦場に出ていない。訓練こそ積んだが、深海棲艦とはまだ一度も相対すらしていない。
 強制でもない。半強制ということすら難しいほど、私達の立場は篤く護られている。
 戦いたくないといえばすぐにでも人間としての生活を与えられる。実際、そういう選択肢を選んだ同期建造の子も少なくない。
 艦娘として戦う上で金銭的な優位性があるわけじゃない。むしろその重要性と比較すれば、小林多喜二が筆を取るほどにどす黒い職場といえる。
 見知った顔が奴らの餌食になったことさえ無い。そもそも記憶の中の顔なんて、とうの昔に全員死んでいる。

 何故、戦うのだろうか?

 私に、その答えが言えるのだろうか?


グラハム「……なぁ、叢雲」

グラハム「私は、一度死んでいる」

叢雲「!」


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