過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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◆WHzNz9zb1A
[sage]
2014/10/30(木) 01:39:05.37 ID:D7epLHdAO
彼がそう告げた瞬間、割れんばかりの警報が基地を怒号に包み込んだ。
赤いランプがくるくると灯り、次々にサイレンの咆哮が鳴り響く。
『緊急警報、緊急警報』
『深海棲艦・内地侵攻形態の接近を確認、大型タンカークラスと推定』
『提督の指揮下にある戦闘が可能な艦娘は、至急抜錨し迎撃に移れ』
『これは演習ではない、繰り返す、これは、演習ではない』
担当官「ひっ……!」
憲兵中尉「内地侵攻形態……【幽霊船】か!」
グラハム「…………」
叢雲「…………」
それでも、彼は私から目を逸らすことなく、言葉を続けた。
サイレンの音が遠退くような感覚。私は、ただただ彼の言葉に集中した。
そこに、私の答えの手がかりがあるように思えたからだ。
――少し時間を遡り、呉基地・近海――
空高く昇る太陽が、見渡す限りをあまねく照らす呉の近海。
穏やかな水面に白波を立てながら、警護の艦隊が母港を出て真っ直ぐ外海の方へと進んでいく。
編成は軽巡洋艦1、駆逐艦4、水上機母艦1。複縦陣形を取りつつ巡航速度にて航行中。
吹雪「千歳さん、あれが目標の輸送船ですか?」
望遠鏡(本来彼女の提督の私物である)を覗き込みながら、吹雪は隣に立つ千歳に話し掛けた。
彼女は手に持つカタパルトから偵察機を発進させてから、吹雪の方を向き応える。
千歳「えぇそうよ。海上護衛任務の登録船ね」
千歳「どうやら運送途中に深海棲艦と鉢合わせたみたい。SOS要請と一緒に、呉基地への一時退避を希望してる」
秋雲「まぁた編成規則無視した違法輸送船じゃないの? やんなるねぇ」
由良「こら、秋雲」
『どうだ千歳、状況は?』
千歳「船体は……結構損傷が酷いわ。左舷がボロボロ、コンテナも穴だらけね」
千歳「あ、随伴護衛艦娘確認……四人ね。全員駆逐艦かしら? 軽巡洋艦らしい艦影は見えないかな」
秋雲「ほーらぁ!」
響「あまり当たってほしくない予想だったんだけどな……」
長波「あんまり騒ぐんじゃねーよ。もしかしたら沈んじまったかも知れないだろう?」
秋雲「あ……ご、ゴメン」
由良「そうじゃないことを祈りたいけど……とにかく、合流を急ぎます」
『あぁ、そうしてくれ。千歳は何か分かり次第報告。任せたぞ』
千歳「ふふ、任されました」
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