過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11
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993: ◆zvY2y1UzWw[sage saga]
2015/04/03(金) 23:57:04.23 ID:c+C6lj+M0
いつの間にか黒兎は手の中から抜け出していた。本当に空気に耐えられず逃げ出したらしい。

仁加「…お…お姉ちゃん…!!」

一呼吸おいて、仁加は加蓮の胸に飛び込んで思い切り抱きしめた。

ぬくもりと、柔らかな感触…今抱きしめているのが加蓮であるという感覚が、いくつもの感覚器官を通して確かなものとして感じられる。

優しく抱き返しながら頭を撫でてくれるのが嬉しくて、まるで母親に抱きしめられた赤子のような安心感を得ていた。

仁加「離れたくない…」

加蓮「…甘えん坊さんだね」

仁加「……だって、手を繋いでる時より近いの」

加蓮「そうだねー…仁加ちゃんは温かいけど…私の体、冷たくないかな?」

仁加「ううん、だいじょぶ…だいじょーぶ…」

少しずつ加蓮を抱く腕の力が抜けていく。顔を見てみれば今までのストレスから解放されたからか、腕の中で眠たそうにしていた。

加蓮「もしかして…眠い?」

仁加「……ねるの、こわい…ねて、おきたら……ぜんぶ、なかったこと、なりそう…で…」

彼女にとって、眠ることは夢の世界に呑まれる事だ。それと同時に夢の世界から解放される事でもある。

このドキドキも、嬉しい気持ちも…また悲しい気持ちの中に堕ちる切欠になりそうで怖いのだ。

仁加「いま…ゆめじゃない?……わすれない?」

加蓮「大丈夫、夢じゃないよ…それに、私は絶対忘れないよ。…忘れても絶対にまた思い出すから。……だから安心しておやすみ」

仁加「…う…ん」

昔の記憶、微かな思い出の中の母親の真似をして背中をポンポンと優しく叩いてみる。すると本当に酷い眠気だったようであっさりと眠りについた。


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