43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/08/27(水) 01:30:31.46 ID:smL+Ivsno
〇妹〇
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うな垂れている。
時刻は八時だった。昼間は薄暗いこの住宅街は夜になると、こうこうとした街路灯が眩しい。三方向に伸びる電柱の影を踏み越えると、角がある。そこを右折。すると大通りにでる。彼女の帰路はきまってこの順だった。
今日はいつもより月が見えない。朧の満月が空には完成していた。晩夏の風、爽爽として草木を揺らし、時折鈴虫の声が聞こえては秋の…………いや、もうよそう。
彼女は夜道をひとりだった。彼女は頭を垂れていて───朧月夜も鈴虫も彼女の虚ろな心には届いていなかった。
彼女が考えていたこと、それは学校でのことのみだった。
思春期になり、両性とも性への目覚めを経ると、その嗜好に異常が現れるものも少なからずいるもの。だが彼女は異常な自分が認められなかった。
あるいは彼女は自分のことをよく知っていたのかもしれない。
学校ではビッチと蔑まれ、そんなストレスの捌け口として自分と同じ嗜好───つまり女色の女生徒をつかまえては行為に及んだりした。
うら若き彼女がそんな自分を正面から捉えられるほど熟した精神を持っていないのは明白だった。彼女は悩んでいたのだ。
そういうわけで、彼女───つまり俺の妹は、最近いつもこんなかんじである。
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