過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/07(日) 19:59:27.79 ID:cp5pogPl0
 山奥の洞窟、勇者はそこでひたすらに待った。

 ここで来るかどうか、それが、何よりも大事だった。

 女神の信徒には、ある特徴がある。

 あの姉弟に出会い、勇者が気が付いたことである。

 王子としての生活、そのあとすぐに勇者としての生活が始まった。

 そんな勇者だからこそ、この異常事態に気が付かなかったのだ。

 しかしここで、疑問が一つ生じる。


 今までの冒険を思い返せば、共通点は見えてくる、しかし明確な違いを確信できるほどの情報が今の勇者には不足していたのだ。

 可能性は十分にある。

 思い当たる節もある。

 しかし、確信に至るほどの情報ではない。

 これが、何よりも大切なのである。

 これがもし、成功するのであれば…

 大きな希望が見えてくる。

 勇者の頭に閃いた策の成功率が格段に上昇する。

 だから来い

 勇者は洞窟の岩に腰掛け、ただひたすら待つ。

 そして――

 足音、すたすたと、一定のリズムで、その者は来た。

僧侶「…うー」

 僧侶は、意思のない瞳を彷徨わせながら、勇者の前で足を止めた。

勇者「……」

 ここは王国から300キロメートル離れ、四方を海に囲まれた孤島の洞窟である。

 心の壊れた僧侶が、この場所に現れた。

 それにはどれほどの苦労があっただろう。

 それは想像に難くない。

 しかし僧侶は来た。

 勇者は、込み上がってくる感情を御しきれず口元を釣り上げた。

 勇者が洞窟にこもって五日後のことであった。




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