過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2014/09/08(月) 21:06:58.64 ID:YtpFI3Ae0
側近「お見事です」
いつの間にか魔王の背後に立つ側近が口開く。
魔王「……いや、違う」
魔王は、地平線を見つめながら、つぶやくように言った。
側近「どうかなされましたか」
魔王「手応えがなさすぎる」
狂化していた時の方が、まだ手ごわかったように思う。
勇者が防戦一方だったのは事実だ。
そんな中で、余を誘導するのも一苦労であっただろう。
ゆえに早い段階で、余の誘導も不完全な状態のまま切り札を使った…
回避不可能の、勇者渾身の最大攻撃。
……それすら…罠?
そう思わせることが重要だったとしたら?
あの手ごたえ…
最大攻撃に見せかけた、…ただ範囲と見た目だけに特化した魔法だった?
魔王「! 側近、今の時刻は?」
側近「は? 今の時刻ですか?」
側近はそういって空を見上げ、太陽の位置を確認した。
側近「……あ」
側近は、何かに気が付いたというように、声を上げた。
それで十分だった。
魔王「勇者め」
魔王は歯噛みする。
すなわち、最初から勇者の策のうちだったのだ。
最初の会話、あれで、こちらの時間間隔を狂わせた。
現時刻。まだ、全人類の魔力を集める時間ではない。
つまり、少数の、策を知る者のみの魔力で、全魔力を集めた様に見せかけ、こちらの魔力を削る策略だったのだろう。
事実、こちらは、盛大に魔力を消費してしまった。
魔王「……やってくれる」
こちらが策を知ったうえで、それすら利用してきたというわけだ。
目前、先ほどとは比べ物にならない魔力をほとばしらせ、転移魔法により着地した勇者を見つめ、魔王は顔をゆがめた。
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