過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:06:58.64 ID:YtpFI3Ae0
側近「お見事です」

 いつの間にか魔王の背後に立つ側近が口開く。

魔王「……いや、違う」

 魔王は、地平線を見つめながら、つぶやくように言った。

側近「どうかなされましたか」

魔王「手応えがなさすぎる」

 狂化していた時の方が、まだ手ごわかったように思う。

 勇者が防戦一方だったのは事実だ。

 そんな中で、余を誘導するのも一苦労であっただろう。

 ゆえに早い段階で、余の誘導も不完全な状態のまま切り札を使った…

 回避不可能の、勇者渾身の最大攻撃。

……それすら…罠?

 そう思わせることが重要だったとしたら?

 あの手ごたえ…

 最大攻撃に見せかけた、…ただ範囲と見た目だけに特化した魔法だった?

魔王「! 側近、今の時刻は?」

側近「は? 今の時刻ですか?」

 側近はそういって空を見上げ、太陽の位置を確認した。

側近「……あ」

 側近は、何かに気が付いたというように、声を上げた。

 それで十分だった。

魔王「勇者め」

 魔王は歯噛みする。

 すなわち、最初から勇者の策のうちだったのだ。

 最初の会話、あれで、こちらの時間間隔を狂わせた。

 現時刻。まだ、全人類の魔力を集める時間ではない。

 つまり、少数の、策を知る者のみの魔力で、全魔力を集めた様に見せかけ、こちらの魔力を削る策略だったのだろう。

 事実、こちらは、盛大に魔力を消費してしまった。

魔王「……やってくれる」

 こちらが策を知ったうえで、それすら利用してきたというわけだ。

 目前、先ほどとは比べ物にならない魔力をほとばしらせ、転移魔法により着地した勇者を見つめ、魔王は顔をゆがめた。



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