過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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[saga]
2014/09/05(金) 23:30:10.61 ID:Zt2BxoPL0
司祭「……」
司祭は神官を庇うように、おおよそ勇者らしくない勇者の前に立ち、緊張を高めた。
場所は教会、祭壇の前。
司祭「勇者?」
勇者「ぎりぎり…意識はある」
コミュニケーションが取れることに司祭は安堵する。転生によって、呪いのかかる前の状態になることは、これで実証された、しかし呪いの装備を纏っているため、またすぐに呪いにより正気を失ってゆくのであろうが。
司祭「すぐ行くのか?」
勇者「ああ、自我があるうちに、まず感染して、魔王城に乗り込む、あとは、狂気に身をゆだねるだけでいい」
司祭「…勝機は?」
勇者「手ごたえは…ある…と思う。 悪い、もう行く、長いこと正気を保っていられる自信がない」
司祭「…そう…か」
勇者は踵を返すと歩き出し、教会をでると転移魔法を発動した。
神官「あれは…勇者なのですか?」
神官が、怯えたように、司祭に尋ねる。
司祭「…ええ、勇者です、今、人類のために必至になって戦っている、俺たちの知る勇者ですよ」
司祭は、願うようにそう応えた。
勇者は魔物の巣くう岩石地帯へ移動すると、迫る狂気に歯を食いしばりながら、一頭の巨人を瞬殺する。
吹き出る血を飲みほし、すぐさま転移魔法、すでに正気があいまいになる。
魔王城を駆け抜け、魔王の間へ、そこに魔王の存在を認めた勇者は、あとは狂気に身をゆだねた。
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