過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/06(土) 23:22:59.19 ID:wtpJ9iTZ0
 勇者の話が終わると、場は水を打ったように静まり返った。

 皆が口を閉ざし、先ほど進み出た兵士は、あまりのショックからか膝を床につけている。

勇者「……しばらく……休ませてほしい」

 話をする中で、皆が現状を認識してゆくにつれ、勇者は幾ばくか冷静さを取り戻していた。

王「……」

勇者「…三万人分の働きはする、転移魔法で町を回り、魔物を殲滅する。ただ…魔王の討伐は約束できない…」

 勇者のこの言葉に誰も反論を挟まなかった。

勇者「これからの予定や、詳しい作戦は、明日にしてほしい……とにかく今は……眠りたい」

王「…うむ、ご苦労であった、…今は、ゆっくりと休め」

大臣「王…!」

 勇者は、よろりと立ち上がると、歩き出した。

 その足を、止める。

勇者「……ありがとう…父さん」

王「……!」

 勇者はそう言うと、また歩き出した。

 途中、うなだれた兵士を横目に見、口を開きかけたが、すぐ閉じた。

 きっとこの兵士の友も、自分を助けるために犠牲になったのだろう、そう思った。

 すまない、弱い勇者で

 その言葉を飲み込んだ勇者は、自室に向け歩き出した。

大臣「王、よろしいのですか?」

 勇者が出て行ったあと、大臣は、青ざめた顔を王へ向ける。

王「……」

 王は、何も答えなかった。


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