過去ログ - 希「死なんといてね、ことりちゃん」ことり「知らないの?…私は死なない」
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299: ◆Qe7X7xrNvI[saga]
2014/10/02(木) 00:18:53.54 ID:ZhD9akc7o
その日は、私にとって初めてのことばかりだった。


まず、誰かの家に入ったのが、初めてだった。

家の中はとても暖かくて、私はその時、その家だけ夏になっているのかと本気で信じたほど。

そして次に、暖かい水があることを知った。

夏のぬるくて気持ち悪い水じゃなくて、触れると温まる、気持ちいい水。

それを頭から思いっきり浴びて、石鹸で身体を洗って、

あったかいお風呂に入って、タオルで身体を拭かれて、

ふかふかの洋服を着させられて、ふわふわの椅子に座ったのも、

全部、全部、初めてのことだった。



「んぐっ…。んぐっ…!もぐもぐ…、むしゃむしゃ…!!」


美味しい。美味しい!美味しい!!

何日も食べてなかった口に通った食事は、一度も食べたことのない食事だった。

早く食べないとなくなっちゃう。そんなことを考えた気がする。


「そんなに急いで食べても、誰も取りませんよ?」


私をこの家に入れてくれた家主は、そう言った。

そんなこと言っても、一度動き出した口は自分では抑えきれなくて。

結局、食事を喉に詰まらせて、今度は窒息死しそうになって初めて、その口は止まったのだった


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