過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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117: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/11/28(金) 02:08:49.57 ID:rRVkEB150
ウェイターに案内されたのは、奥の方にある席だった。

二人だというのにゆったりとした四人がけのテーブルである。

咲「明華さんもパリに住んでるんだね」

椅子に座ると、咲は早速気になったことを尋ねた。

和「ええ。なんでも父親と進路でもめた挙句に家出をして、こちらにいる知り合いを頼ってきたらしいです」

和「で、その方のコネでこの店で雇ってもらったんだそうです」

咲「へぇ……そうなんだ」

そんなことを話していると、いつの間にオーダーしていたのか一品目が運ばれてきた。

美しい翡翠色をしたスープだ。さらにグラスに注がれた白ワインが当たり前のように置かれる。

咲「あの、これって……」

和「呑めませんか?」

咲「ううん、それは大丈夫だけど」

何せこれは夕食ではなく昼食だ。

日の出ている間に酒を飲む習慣などない咲はどうしても面食らってしまう。

けれども和にとってはごく当たり前のことらしい。

和「これ、店からのサービスだそうです」

咲「そうなの?」

思わず咲がウェイターを見ると、入り口そばで控えていた老紳士は茶目っ気たっぷりにウィンクを返してきた。

和「まあ、とりあえず『パリへようこそ』ということで」

グラスを掲げた和に従って、咲も慌ててワインに手を伸ばす。

和・咲「乾杯」

カチン、と澄んだ音が耳に心地よく響いた。


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