過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
↓ 1- 覧 板 20
221: ◆CU9nDGdStM[saga]
2015/06/20(土) 01:46:19.86 ID:sUQMHQVa0
まだ筆を取るに至ってはいないが、「旅の記憶を忘れないうちに」という欲は沸いている。
けれども前の仕事に戻れるかというと――途端に何も考えられなくなった。
急に始まった咲の沈黙をどう捉えたのだろうか。
リーダーはふっと真面目な顔になって、ゆっくりと話し出す。
リーダー「君にはあくまで通訳として仕事してもらったけれども、私は君の作る言葉が好きだよ」
咲「……」
リーダー「とてもわかりやすかった。言葉をただ置き換えるのではなく、その背景や周囲にまで気を配って訳してくれたね」
咲「ありがとう、ございます……」
彼の言葉は嬉しかったが、同時に戸惑いもした。
通訳についての謝辞は折に触れて伝えてもらっていて、正直これ以上は自分には過ぎているように思う。
しかしリーダーの目はひたすら真っ直ぐに咲を見つめるのみだ。
リーダー「ライターとしての君の仕事は見ていないけど、あれだけ言葉を大事にしているんだ。きっと素晴らしいものだと確信してる」
リーダー「これまでもこれからも、困難はたくさんあると思う。けれど自信と誇りを持って仕事を頑張ってほしい」
それは、間違いなく励ましの言葉だった。
咲の仕事への迷いなどを、この経験豊かな男性は感じ取っていたのだろう。
だから「胸をはれ」と。
そうやって堂々と仕事に取り組みなさい――そう言ってくれたのだ。
咲「……はい。ありがとうございます」
391Res/221.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。