5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga]
2014/09/16(火) 22:40:05.08 ID:KucHFZ+p0
それからあとは、すべてごく迅速に、確実に、自然に事が運んだので、もう何も覚えていない。
ただひとつだけ、記憶がある。斎場の入口のところで、有希が私に語った。
有希は無表情に釣り合う抑揚のない平坦な声で
「ゆっくり行くと、熱中症に罹る懼れがある。急ぎ過ぎると、汗をかいて冷房で風邪をひく」と彼女は云った。
彼女は正しい。逃げ道はないのだ。この一日について私はなお若干の印象を忘れていない。
例えば、棺近く、最後に彼女がキョンの棺に縋りついた時の、みくるちゃんの顔。
苛立ちと苦痛からの大粒の涙が頬に溢れていた。涙はそのままぼろぼろと流れ落ちていた。
また、「キョンくん、起きてー」、「なんで何時までも寝てるのー?」、「夕ご飯が冷めちゃうよー?」と死が理解できていないキョンの妹。
家に帰り着いたとき、私はこれで横になれる、十二時間眠ろうと考えた。
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