過去ログ - 安価でシークレットゲーム8
1- 20
589:名無しNIPPER
2015/02/25(水) 06:51:12.95 ID:byhrNkBo0
御神島の西側を東へ向かう蓮井未久(女子十三番)の足取りは、酷く重かった。
それは、未久だけではなく、前を歩く芳野利央(男子十九番)も後ろを歩く阪本遼子(女子八番)も同様だった。

北西の集落に身を潜めていた未久たちは、覚悟を決めた。
これまでは、プログラム開始前に班員の田中顕昌(男子十一番)を喪ったことによる人的・物的ハンデがあることと、情報を集めてから動いても遅くはないだろうという利央の提案により、行動ができなくなる怪我を負うような戦闘には巻き込まれずにここまで生き残ってきた(未久は、親友の平野南海(女子十四番)によって、左腕に怪我を負ったが)。
しかし、班の数は減り、クラスメイトも減った。
誰がやる気になっているのかという情報も入手したので、危険人物は粗方特定することもできた。
もう、待つ理由はなかった。
未久たちは、生き残るため攻めに転じる覚悟を決めたのだ。

しかし、残る数少ないクラスメイトを探すために別の集落へ向かっている途中に、クラスメイトに出くわした――正確には、クラスメイトの亡骸に、だ。
仰向けに横たわり、普段見たことのないような穏やかな表情を浮かべてまるで眠るように事切れていた原裕一郎(男子十三番)と、その側でうつ伏せに倒れ、地面を赤黒く染めていた室町古都美(女子十八番)――小石川葉瑠(女子五番)が最期に残してくれた情報によれば、プログラムに乗り、葉瑠とそのチームメイトでリーダーだった相葉優人(男子一番)を死に追いやった2人だ。
仲の良かった葉瑠の仇――しかし、憎しみは湧かなかった。
憎んだところで、2人ももう死んでしまった。
虚しさと、クラスメイトの亡骸を見てしまった気分の悪さが残った。

その後、誰かいないかと、西の端にある灯台に寄った。
後から思えば、灯台に血痕が残っていた時点で、その場を去るべきだった。
周りから中の様子を窺うために窓を探し、中を見て回った。
そのうちの一室、灯台守が住んでいたと思われるレンガ造りの居住区の寝室と思われる部屋のベッドの上には、城ヶ崎麗(男子十番)が横たわっていた。
さらにその2部屋横のダイニングのような広い部屋の中では、人が何か大きなモノを抱き締めて倒れていた――そこから2m程離れた場所に転がっていた浅黒い肌とほとんど血で汚れていた金色の髪は、その時点ではまだ放送で名前を呼ばれていなかった日比野迅(男子十五番)以外には考えられず、迅の胴体が抱き締めているのはその彼女である水田早稀(女子十七番)と思われた。
その凄惨な光景に、たまらず遼子が嘔吐し、未久も腰が抜けてしまった。
最初に首輪の連動爆発により全滅した如月梨杏(女子四番)率いる8班、初日に何者かに襲われて全滅した未久たちの親友の1人山本真子(女子十九番)のいた3班、そして麗、迅、早稀――クラスメイトの亡骸との遭遇率の高さに辟易した。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
625Res/345.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice