過去ログ - 穂乃果「私はあなたのものだから」
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178: ◆KZH78Pv7kI[saga sage]
2015/02/14(土) 03:40:02.24 ID:h3YKCyjoo
「もう、いじわるな真姫ちゃんにこれはあげません」

私が理性を取り戻したころには、すっかりご機嫌ななめなむくれ穂乃果になってしまった。雰囲気はすっかりお通夜状態。

「ごめんってば。機嫌直してよ」

「別に機嫌が悪いわけじゃないもん。ふんだ」

それ、絶対機嫌悪いわよね。……穂乃果には悪いことをしてしまったかもしれない。

穂乃果の考えていることはわからないけれど、おそらく、もっとあとに、少なくとも穂乃果のバレンタインチョコを消化してからやりたかったのかも知れない。

「……ほんとは、これを渡してからキス、したかったんだ」

穂乃果は私に鞄から取り出した箱を私に差し向けた。

「……開けてもいい?」

その問いかけに、穂乃果は小さく「うん」と頷いた。

リボンを丁寧に解いて、ラッピングをはがすと、そこにはおよそチョコレートには見えない黒い箱が顔を出した。

穂乃果の顔をちら、と覗くと、また穂乃果は黙ってただ開けろ、というようにうなずく。あけてみると、そこには。

「……え、これって……ネック……レス……?」

中から顔を出したのは、赤いペンダントネックレスとオレンジ色のネックレスのペア。

どちらも音符をあしらったデザインをした可愛らしいもの。カラーからして、穂乃果と、私なのだろう。

「……バレンタインだから。チョコレートよりももっと、形になるようなものがいいなって思ったんだ」

……なんてことをしてしまったんだろう。

少し前の時間に戻って今すぐにでも浅はかだった自分を殴り飛ばしたい。

オシャレにも気合入れて、こんなプレゼントを用意してくれていて。私は自分がとても嫌になった。

陰鬱な雰囲気がもっと濃くなった。私は何を言えばいいのかわからなくなってしまった。

「……ねぇ、受け取って、くれる?」

その暗いムードに光明をもたらしてくれたのは、穂乃果だった。

「もしも真姫ちゃんが気に入ってくれたら、とっても嬉しいな」

そんなの聞くまでもないでしょう?私のいう事なんて決まってるじゃない。

「……あたりまえでしょ!穂乃果が私のために用意してくれたものなのよ!?受け取らないわけないじゃない!」

逆切れみたいな形になっている。どうして私が怒っているんだろう。

「……よかったぁ、いらないって言われたらどうしようかなって思ってたんだ」

「……大事にするわね。私、オレンジのネックレスでいい?」

「え?うん。いいよ。じゃあ私が赤のペンダントだね」

早速首にペンダントチェーンをかけてみる。うん、いい感じ。

「似合ってるよ。真姫ちゃん」

「穂乃果こそ、とてもよく似合ってるわ」

自然とお互いの距離が少しずつ近くなる。今度は間違えたりしない。

「穂乃果、やり直しはきかないかもしれないけど、それでも、もう一度あなたとちゃんとキスしたい……」

「真姫ちゃんがいいなら、私は……」

肩に触れそうな手を掴んで、掌の温度を余すことなく得られるようにって、恋人つなぎして。

「穂乃果……」

「真姫ちゃん……ん……」

私たちは唇を、触れ合わせた。


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