過去ログ - 穂乃果「私はあなたのものだから」
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210: ◆KZH78Pv7kI[sage saga]
2015/04/03(金) 13:36:48.92 ID:pIyDd0Ai0
いつの間にか顔を上げていた真姫ちゃんのお父さんは、私に近づくこともなく、ただ淡々とそこで話をする。

この人は嫌いな人だ。自分が悪いと思っていても、相手も悪いんだと思って開き直る人だ。

奪っていくものの大きさを大切さを、奪うから知らない人だ。

「うん。急な話だからね。しっかり考えてほしい」

「……あの、ちゃんと、真姫ちゃんに伝えます。それで、いつまでって……」

けど、抗えない。この人は正しい。私は多分、真姫ちゃんの将来の邪魔になってしまうかもしれないから。だから、従うしかない。

本当は、どうにかして、今のままでいたい。

「……出来るだけ早い方がいいが、遅くとも夏休み迄には、決めてほしい」

そんな、夏休みって、もう少ししたら、ラブライブがあるんだよ?それに、その前にも予選だって、あるのに。

「……わかり、ました。じゃあ一つだけ、おねがいしてもいいですか?」

真姫ちゃんがこのことを聞いたら、多分真姫ちゃんのお父さんを恨むどころじゃないかもしれない。とても、口では言えないくらい酷いことをしてしまうかもしれない。

「……出来る限りのことをしよう」

「だから、今日私と話したこと、真姫ちゃんには秘密にしてください。……お願いします」

「……よろしく頼む。私はこれで失礼するよ。時間を取らせて済まなかったね」

私が受け入れた、と思ったみたいで、その人はそう言ってすくっと立ち上がって、ゆったりとした歩調で居間を出ていった。私は、話の内容に頭がいっぱいで、出されていたお茶菓子を目に入れるだけ、顔なんか全然見れなくて、立ち上がったところを視界に入れただけで、見送ることも出来なかった。

真姫ちゃんのお父さんはそれでもよかったみたいだけど。玄関で、うちのお母さんが真姫ちゃんのお父さんと挨拶しているのが聞こえる。

私、どうすればいいの?別れるの?それとも一緒にいる?……何も見なかった、聞かなかったふりをして、真姫ちゃんを留学させる……それは絶対に嫌だよ。

どうしよう、どうすればいいの……?頭が熱くて、胸が苦しくて、何か吐き出しそうになって、私は机に突っ伏してしまった。


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