635:ベルトコンベア ◆EwTy/47GRIPz[saga]
2016/03/15(火) 00:04:48.30 ID:opLYsvfs0
ゆっくりと、落ちていく。
電車の走る音。
電車の揺れる感覚。
車内の暖かさ。
そのすべてが、男を眠りへと誘っているようだった。
男の中では、やはり安堵の気持ちが大きかった。
何一つ物事が好転したわけではないのはわかっているが、それでもゆっくりと考える時間ができるというのは、やはり安心する。
大丈夫。なんとかなる。
そう、自分に語りかける。
いつか、みんなとも仲良くなれる時が…………。
そう、自分に言い聞かせる。
いや……、後は起きたときに考えよう。
今はもう、眠ろう。
男の脳が、もう休みたがっているように重くなる。
とても、心地のいい。
電車の揺れも、音も。
椅子の柔らかさも、体に残る疲れも。
そして、目に当てられる冷たい……手も……。
ぞわっと、全身に鳥肌が立った。
そして、再び激しく動き始める心臓。
いつの間にか、固く握った両の手も震えている。
そんな……どうしてっ!?
いくら考えても、答えはわからない。
嘘だ……。こんなの……こんなの…………っ!!
気のせいだと思いたい。
否定したい。
しかし、目の前の現実はそれを許さない。
そしてソレは、微かに笑ったかと思うとこう言った。
「 だーれだ? 」
お わ り
647Res/564.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。