過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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43: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/10/26(日) 01:47:56.84 ID:SyN6Q9a4O
握られていた腕に、不意に力を込めてみれば。

「あっ───」

スルリ、と。

たったそれだけのことで、固く握られていた筈の繋がりは容易くほどけてしまう。

真姫ちゃんは名残惜しそうに、にこの指先を視線で追い続ける。

「あーあ。離しちゃったわね」

追い続ける──だけで動こうとはしない。そのせいで私達の間に生まれた、距離。

「……真姫ちゃん」

解放された腕を振りかざすように。私は距離を保ったまま、ゆっくりと振り返る。

「今度は真姫ちゃんの方から、にこの手を掴んで欲しいな」

さっきとは逆の腕を差し出してあげる。

その代わりに最後の一歩、余った距離は真姫ちゃんの方から歩み寄って?


与えられるがまま。奪われるがままの真姫ちゃん。

貴女は私という人間を通じて、勝ち取るという事を学ぶの。

めそめそと泣いていれば、いつか誰かが手を差し伸べてくれるけれど。

それでは本当に欲しいものは手に入らないから。

今の真姫ちゃんが、私を手に入れ損ねたみたいに。

与えられたものは、全て紛い物。そんなの、嫌でしょう?

だから、ね?

欲しいものには、手を伸ばすの。

奪われたら、追い駆けるの。

与えられたものは、磨き続けるの。

そうしたらいつか、本物が手に入るから──。


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