過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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50: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/10/29(水) 19:05:00.90 ID:djo1UXpFO

(…………っ)

どうして私は泣きながら震えているのだろう。

これではまるで、死ぬのを恐れているようではないか。

(大丈夫。大丈夫、だから……)

止まらない震えを押さえ付けて、私は必死にそう言い聞かせる。

ひとりで居ると押し潰されそうで。誰でもいいから傍に居て欲しかった。

(そうだ、ナースコール)

いつの間にか指先からこぼれ落ちていたボタンを拾い直そうとして、しかし震える体がそれを許してくれない。

そうして──数秒。ようやくボタンを拾い上げた時になって。

ガラガラと入り口の扉が開く音がする。

それに続いて室内に響いたのは、控えめな靴音。

来訪者は囲いになっているカーテンを掴むと、その隙間から顔だけで此方を覗いた。

「……!?」

目が合い、互いに驚きの声を発する。

大粒の宝石のような瞳は二、三度瞬き、そして綻ぶ。

けれど私の方は未だに驚きを隠しきれてはいなかった。

「真姫ちゃん、どうして……」

私の一番見られてはいけない姿。それをよりにもよって、一番見せてはいけない仲間のひとりに見られてしまった。


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