過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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85: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/13(木) 23:31:42.49 ID:NV91PEd4O
「昨日見た薬のこと、誰にも話さないで欲しいの」

紅い双眼に射抜かれて、私は暫し硬直する。

綺麗だと思ったのだ。よりにもよって、同世代の女の子のことを。

自分よりも小柄で幼く、かわいらしい筈の、目の前の少女のことを。

「理由を聞かせて頂戴」

けれどそんな自身を諌めるように、私はより毅然と振る舞う。

私がほんの一瞬抱いた不埒な想いを、彼女に悟られてはいけない。

理由はわからずとも、本能でそう感じたのだ。

「……もう、気付いてるんでしょ?」

「………」

沈黙は、肯定の意を表して。

けれど相変わらず、私を捉えて離さないにこの瞳に。

「予測の域は……出ないけど」

堪えきれず、私は敢えて言葉として紡いでいく。

「……そう」

重い。

ふと、そう思った。言葉も仕草も息遣いも、何気ない視線の動きさえも、すべて。

これまでの私が知る、矢澤にこのすべて。そのどんな場面よりも、目の前の少女が発する重みは鈍く、息苦しい。

「にこ、あなた……」

「ねえ、絵里」

遮られた言葉の続きは。

「本当はにこの病気、まだ治ってないの」

彼女自身の口から語られた。


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