過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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90: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/13(木) 23:34:57.80 ID:NV91PEd4O
「どこへ行くの」

私が休憩を宣言するなり、彼女は屋上を後にした。その足取りは覚束ない。

「……着いて来ないで」

あまりにも見るに堪えない姿だった。途中から、目を背けてしまいたくなるほど。

あんなのは、ダンスとは呼ばない。ただ動いているだけだ。

きっと私の他にも何人かは気が付いただろう。一緒に振り付けの練習をしていた真姫なんて特に。

「ひとりに、なりたいの」

手すりに掴まり、荒い呼吸と共に言葉を吐き出す。階段を降りようと前に踏み出すけど、今の彼女にはそれすら無謀に思えた。

「……みんなに話しましょう」

にこは静かにこちらに振り替える。

(そんな顔……したって……ッ)

ただ微笑み、談笑する。そんないつも通りのゆるやかな日常が続いていくのであれば、あるいは──。

そう思った。

強く眩しい憧れを誰よりも永く抱き続けた彼女ならば、あるいは──。

そう思った。

けれど実際はそんなことはなくて。迫り来る生命の期限を前に、目の前の少女は余りにも無力だった。

「みんなに話して、そして一緒に考えましょう?にこがμ‘Sを続けていけるように、みんなで……」

空虚な事実を叩き付けられて、視界が滲んだ。夢をみることさえ許されないのだと、知った。

「イヤよ」

神様も。

「他の誰にも話さない。話したらあんたを許さない」

貴女も。私に何も許してはくれない。


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