過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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◆gDTYF1szXU
[saga]
2014/11/13(木) 23:34:16.00 ID:NV91PEd4O
真姫ちゃんとの昼食を滞りなく済ませて、あっという間に放課後。
幸いなことにそれまでに私の様子を怪しむ者はひとりもいなかった。
きっと絵里だって、薬のことを知らなければ今でも何も気付かずにいられただろう。
「今日は17時から振り付けの合わせをするわよ」
絵里は屋上でみんなにそう告げる時、私の方に一瞬だけ視線を注いだ。
その程度で釘を差したつもりなのか。彼女は自信の無い時ほど、決意を見せつけるように強硬な態度を表す。そういう癖があるのだ。
「真姫ちゃん、振りの練習付き合って」
過ぎ去った時間、その後ろ姿を追いかけるように。私は一心不乱に止まることなくダンスに取り組んでいく。
……嘘だ。急な激しい動きに体が付いていけるはずもなく、途中に何度か休憩を挟んでもらった。
格好つけようとしたって、出来ないことはある。迷惑かけちゃってごめんね、真姫ちゃん。
「……一度全員で合わせて踊りましょうか」
ろくに息を整える間もなく集合がかかる。私を気遣った真姫ちゃんが待ったをかけようとするのを制止して、そのまま列に加わった。
絵里は一度決めたらトコトン頑固な性格だから、きっと私に対してだって手を抜いたりはしない。
だけどそれ故に、自分の望まぬことであっても約束を覆すことはない。そんな彼女の誠実さと優しさを、私は信じていた。
「……始めるわよ」
1オクターブ低い声で絵里が呟くと音楽が流れ、みんなが一斉に踊り出す。
はっきり言ってしまえば、付いていくだけで精一杯だった。というかそれさえ出来ていたかどうか、自信はない。
それでも踊る。可能なら限り、手を足を脳を働かせて。
途中から、絵里はこちらを見なくなった。それが良いことなのか、悪いことなのかは分からなかったけど。
とにかく曲が終わると、私は糸が切れたかのようにその場に座り込む。
休憩、と。絵里は私を見ずに全員に告げた。
ひとりになりたい気分だった。
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