17:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:07:20.24 ID:4btJ32Bz0
第三章 葛葉ライドウ対地獄少女
志乃田名もなき神社の鈴を鳴らすと、ヤタガラスの使者が現れた。
黒い頭巾を目深にかぶっておりその表情をうかがい知ることはできない。
ヤタガラスの使者「よく来ました、十四代目葛葉ライドウ。
要件は分かっております。地獄少女についてですね」
ゴウト「そうだ、地獄通信、地獄少女について知りたい」
ヤタガラスの使者「我々超国家機関ヤタガラスは地獄通信、地獄少女についてある程度把握しております。
何が聞きたいですか」
ゴウト「まずは地獄通信について教えてもらおうか」
ヤタガラスの使者「地獄通信とは言ってしまえば復讐代行業です。
我々が調査した限りでは安土桃山時代にはすでに存在していました。
連絡方法は時代により様々ですが、共通していることは怨みを持つものが復讐を願うと、地獄少女がその復讐を代行するということ。
そして、怨みを果たしたものが死後地獄へ落ちるということです」
ゴウト「では、地獄少女について教えてほしい」
ヤタガラスの使者「地獄少女は正体不明の強大な悪魔です。
過去に彼女を使役しようとした悪魔召喚士が何人もいましたが成功した例はありません。
いつ、どこで生まれたのか、何の目的で地獄通信を運営しているのか、まったくもって謎、一切分かっていません」
ゴウト「ヤタガラスは地獄少女についてどのような立場をとっているのだ?」
ヤタガラスの使者「監視にとどまっておりました。
彼女はこの国を拠点とした強大な悪魔ですが、復讐代行を除いて人々に害をなすことがありません。
その復讐についてですが、確かに彼女の活動により犠牲者は出ていますが、彼女の活動により国家の平穏が保たれているともいえたのです」
ゴウト「? どういうことだ?」
ヤタガラスの使者「原因は不明ですが、かつて、地獄少女の活動が数年単位で見られなかったことがあります。
その期間中、全国で悪魔による凄惨な事件が後を絶たなかったのです。
この理由について、調査と解析の結果我々は次の通り結論しました。
彼女に復讐を依頼する人物は皆深い恨みを抱えております。
彼女に依頼をできなかった場合その怨みがつもり悪魔と化す、もしくは悪魔を呼び寄せる事例が少なくないのです。
そのような理由で現れた悪魔はおおむね彼女ほど理性的ではないので、復讐の対象のみならず周囲の大勢を巻き込んだ事件に発展してしまうのです」
ゴウト「つまり、地獄少女は悪魔による事件の抑止力として働いていると?」
ヤタガラスの使者「先ほども言いましたように、彼女の目的自体は全く不明です。
しかし、結果としてそのように機能していたという意味です。
彼女の行動自体は容認しがたいのですが、排除すればそれ以上の被害が発生する。
要するに地獄少女は我々にとって必要悪なのです」
ゴウト「了解した。つまりヤタガラスは地獄少女を国家に仇なす存在とは考えていないということだな?」
ヤタガラスの使者「その様に考えておりました」
ゴウト「……先ほどから気になっていたのだが、なぜ過去形なのだ」
ヤタガラスの使者「最近まではそのように考えられていたのですが、ここ最近、二か月ほど前から地獄少女の活動が活発になってきたのです。
事件の数も以前とは比べ物になりません。
なにより、以前なら地獄少女が相手にしないような、そのまま時間に埋もれる癒されるような弱い怨みであっても地獄少女の活動の痕跡がみられるのです」
ゴウト「それでは、今や地獄通信は帝都に仇なす存在に……」
ヤタガラスの使者「今でこそ地獄通信の被害件数は、その抑止効果を上回っていませんが、それも時間の問題です。
このままでは確実に帝都に仇なす存在となるでしょう。
誰が怨みを晴らせばそれがまた新たな怨みを生む。
もし今の状態が続けば、晴らす怨みより生まれる怨みのほうが多くなり、怨みの連鎖が爆発的に広がってしまうでしょう。
そうなればもはや手の打ちようがありません。
十四代目葛葉ライドウ。ヤタガラスの名の下に地獄少女の調査を命じます。
最近その活動が変化した原因を調査し、排除するのです」
ライドウはその命令に対して強く頷いた。
ゴウト「……了解した」
71Res/125.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。