過去ログ - 【艦これ】「提督、榛名は……榛名は大丈夫ですよ」
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45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/14(火) 15:42:46.80 ID:KgKqg9VtO
室内に響く乾いた音。頬に走る衝撃、じわじわとやってくる鈍い痛みに、私は叩かれたのだと知る。

「漣さん……っ!」

視界の端で、酒匂さんの表情が歪むのが見えたような気がした。

「俺の指示に意見するな、“ヒトモドキ”風情が」

ドスの聞いた声。視線をその人物ーー提督に戻すと、憤怒の表情でこちらを見下していた。

「初期艦で練度が高いとは言え、貴様は所詮兵器なんだよ。人間と同等に扱ってもらえると思うな」

荒々しい口調と鋭い眼光。そして、過度な暴力。それは年端もいかぬ私達を萎縮させる。まるで蛇に睨まれた蛙ではあるが、この鎮守府ではこれが普通の事である。
恐怖で艦娘を縛り、自身の命令を否応なしに遂行させる。情緒が安定しておらず、少し揺すれば簡単に揺らぐであろう幼い少女が多い駆逐艦は、彼の支配欲を満たすにはうってつけだった。
勿論、万が一の反抗に備えて、石橋を叩いて渡るようなレベルの警戒はしているらしいが。

「……すみませんでした」

他の仲間が居る手前、無理矢理にでも恐怖を押さえつけ、目の前の提督が望んでいるであろう言葉を吐く。

「謝るくらいなら、最初から口を挟むな」

形だけの謝罪に飛んでくるのは理不尽な物言い。
だが、怒りよりも先程押さえつけた恐怖が再燃する辺り、私もこの鎮守府の支配体制に、抗えないんだなあと諦観してしまう。

「俺はお前ら“ヒトモドキ”と違って忙しいんだ。作戦を理解したら、さっさと出撃しろ」

それだけ言うと、提督は一瞥すらくれず、司令室を出ていく。
残された私達は、司令室を支配していた張り詰めた空気から解放され、一人また一人と小さく安堵の息を吐く。


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