過去ログ - 【艦これ】「提督、榛名は……榛名は大丈夫ですよ」
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67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/14(火) 17:17:31.06 ID:KgKqg9VtO

言葉の途中で酒匂の、この場に居る全員の耳が捉える。聞き慣れない音を。腹の底から響くような、重低音を。
どこから聞こえたかも分からないそれに、漣以外の艦娘が戸惑う。次の瞬間、敵の水上を駆けていた駆逐艦の一隻が水飛沫に呑まれて消えた。

「私は彼女の目。大事なのは、攻撃よりも相手を一隻足りとも見逃さない事です」

間髪入れずに再び放たれた長距離射撃の前に、駆逐艦が更に一隻沈んでいく。
どこから狙われているか分からない挙げ句、味方の数を徒に減らした事で、さすがに形勢の不利を認めたか、残った敵艦隊は反転し、我先にと離脱していった。

「た、助かった……の?」

敵影が見えなくなったところで、気が抜けたのか酒匂が再び膝をつく。

「……私に言うことがあるんじゃないかな」

そこに響が近付く。

「あ、えと……ごめんなさい」

響の雰囲気に怖じ気づいたか、素直に謝る酒匂。それを無表情で眺めていた響だが、突然その場に膝をつき酒匂に抱きついた。

「もうあんな真似しないでくれ。仲間を失うのは辛いんだ」

「……うん。ごめんね」

「ダメだ。暫く許さないし、これからも離さない」

響の行動に少し驚くも、彼女の気持ちはとても嬉しい。酒匂も響の背中に腕を回し、彼女の温もりを感じとる。

「あれ、私寝てた? 戦闘は? みんなは?」

「アンタね、私を庇って自分が大破してちゃ意味ないでしょ!」

「……どうして、叢雲ちゃん泣いてるの?」

「バッ……! 泣いてなんかないわよ! 何度呼び掛けても起きないアンタが、このままずっと起きなかったらどうしよう。とか考えてないんだから!」

「うへへー、心配してくれたんだね。ありがとー」

「なんでアンタが礼を言うのよ! どう考えても、礼を言うのは庇ってもらった私でしょうが! あの、その……ありがとう……」

大破した際の衝撃で気絶していた島風も、どうやら意識が戻ったらしい。相変わらず、叢雲に肩を借りてるが、思いの外元気そうである。

「あー、お取り込み中で申し訳ないんですけど」

完全に存在を忘れられている漣が、咳払いを一つ。そこで漸く、酒匂達の視線が漣に向く。それを感じ取って、満足そうに頷いた彼女は言う。

「貴女達には、ここで沈んでもらいます」


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