28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 19:44:32.39 ID:Cg4Jauiu0
「わかった、今日はとことん聖に付き合うよ」
「ほ、本当か!? ありがとう、兄さん」
小波からの返答に、嬉しさのあまり小躍りしそうになってしまう。
顔を合わせられず、テレビの向こうに映る小波を見るしかなかった4年間のなんと味気のなかったこと。
ようやく今日から失った日々を取り戻しにかかることができるんだ――聖の心が期待に弾む。
「――へえ、兄さんねえー?」
「て……手、繋いでる……」
「やっぱり制服デートでやんすか! 羨ましいでやんす!」
――しかし、その聖のテンションを下げたのはよりにもよってとても聞き覚えのある声であった。
聖タチバナでバッテリーを組んでいた1学年上の先輩――去年キャットハンズに入団した橘みずきの声だ。
弾かれたように振り向く聖の視界に飛び込んできたのは、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるみずきと、
キャットハンズの俊足巧打の外野手、矢部昭雄……そして、聖は個人的に最も警戒している人――早川あおいの三人。
「な、なぜみずきがここに……」
「あれ、三人とも奇遇だね。どうしたの?」
ちなみに能天気な小波は聖と手を繋いでいる状況にもかかわらず普通に挨拶を交わしていた。
「ど、どうしたもこうしたもないよ! 小波君が女子高生と、で、デートしてるっていうから!」
「そうですよ小波先輩! いつの間に聖と知り合って……というか聖とデートしてくれるなら私にもチャンスは……」
「なー! で、でーとなどという浮ついたものでは……」
「小波君はオイラの敵でやんすー! うわーん!」
「ええっ!? っていうか、みんな思い思いにしゃべりすぎだよ……」
このちょっとした騒動が収まるには小一時間かかったという。
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