33: ◆EhtsT9zeko[saga]
2014/10/11(土) 20:05:59.10 ID:fJh3zaYgo
「この縛り方は、農作物をまとめる藁敷を止めるためのもんだ」
お姉さんは言った。そう、そうだ。私、この縛り方を知ってる…私もできる。重みがかかればかかるほどきつく締まって行く縛り方だ。
「トロールはこんな縛り方を知らないし、知っていても不器用な奴らだから簡単じゃない。それに、この木の断面。これは斧をつかった跡」
お姉さんはさらに、木の脇を指して言う。確かに木の端っこは三角形にとがっている。
村の人たちがやってた。立っている木にロープを掛けて両側から斜めに斧を入れると、木が倒れる。そんなときは、これと同じ三角形になっていた。
その二つを見て、私はお姉さんがこれを人間がやったんだといった意味が分かった。
それと同時に、なんだか悲しい気持ちが一気に湧き上がってくる。
「じゃぁ…じゃぁ、父さんも母さんも…これのせいで死んじゃった、っていうの…?誰かがこれを作って…それで…急に開けたりしたから?」
私の言葉に、お姉さんは
「うん…」
と低い声でうなずいた。
どうして…?どうしてこんなこと…誰がいったい、何のために…?
そのせいで、父さんが…母さんが…どうして…どうしてよ!
ガクガクと膝が震えて、立っていられなくなって、私はその場に崩れ落ちてしまった。
胸がいっぱいになって、ボロボロと涙がこぼれてきて、わーわーと叫ぶみたいにして泣いた。
お姉さんは、そんな私のそばに座り込んで、ギュッと私を抱きしめてくれて、妖精さんと一緒になって、私の体をやさしくさすってくれていた。
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