46: ◆EhtsT9zeko[saga]
2014/10/13(月) 22:23:46.70 ID:Q2+gdezMo
…うそ、うそでしょ?
あの人が…勇者様の仲間が、あの堰を作った、って言うの?
どうして…?何のために?
「なんで…?なんでなの…?」
「あぁ?決まってるだろ。トロールを退治して金を手に入れるには理由がいる。そいつを作ってやったまでだ」
「そんなの!」
「わかってないな、お嬢ちゃん。俺たち戦いをしてきた人間は魔王を倒したらお払い箱。平和な世の中になれば、いらない存在なんだよ」
勇者様の言葉に、黒装束の男が続ける。
「平和になると俺たちは飯が食えないんだ。迷惑をかけてる魔族がいると聞けば、それを倒して金をもらう他に生きてはいけないのさ」
弓の男がヘラヘラと笑って言った。
「争いがなければ争わせればいい、被害がなければ被害を出せばいい、そうやって俺たちは自分達の需要を増やしてるってわけだ。あーガキにはわかんないかな?」
ついには、斧の男が言う。
「わかろうがわかるまいが、関係ねえ。バカハンターが姿見られてるんだ。どのみち、生きては返せん」」
私は、震えていた。
この人達が、あの洪水を起こしたんだ…
この人たちのせいで、父さんと母さんが死んだんだ…
村の畑がダメになって、私が生贄で捨てられたのも、この人たちのせいなの…?
どうしてそんなにひどいことができるの?
なんでそんなに残酷なことを考えつくの?!
「そんなの、ひどい…ひどすぎるよ!」
私は叫んだ。でも、それを聞いた勇者様は笑った。冷たく、私を見下すような表情だった。
「何がひでえんだよ、おい?お前だって同じだろ?動物の命を奪って肉を食う。魚を採って食べる。それと何が違うんだ?」
「…!」
「俺たちもよ、俺たちが生きるために仕方なくやってんだ。誰にだって幸せになる権利はあるだろう?」
「うまいものを食って暖かいベッドで眠るためには、こうするしかねえんだよ。それがこの世界の現実、ってモンなんだ。まぁ、ガキにはわからねえとは思うけどな」
私は、言葉を失くしてしまった。
確かに、勇者様の言うとおりかもしれない。
私は、私たちも、同じなの…?
昼間は、お姉さんと一緒にお魚を焼いて食べた…でも、確かにお魚にだって命はある。
それを殺して、私は食べた。
だから、お腹がいっぱいになった。
勇者様たちがしていることは、それと同じなの?
自然の中で、狼が鹿の子供を襲って食べるのと同じで、
私たちが、お肉屋さんでベーコンを買うのと一緒で、
勇者様たちはトロールさんを殺して、それでご飯を食べるないといけないの?
978Res/1629.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。