47: ◆EhtsT9zeko[saga]
2014/10/13(月) 22:24:44.15 ID:Q2+gdezMo
「違ウ」
ゴロゴロと声がした。
振り返ると、トロールさんが大きな傷から血のようなものを流しながら、震える体で立ち上がろうとしていた。
「トロール、ダメ!」
妖精さんが止めているけど、トロールさんは聞こうともしない。
「あぁん?何が違うってんだ、このデク!」
勇者様はトロールさんにそう言葉を投げつける。だけど、トロールさんは言った。
「お前たちはただ、いたずらに利益を求めて食らっているだけに過ぎない。自然とともに生きる者たちは違う」
「自然と共に生きる者は、その命に感謝し祈る。そして自らもまたその一環であることを知っている。手に入らぬときは諦め、別の何かを探すのだ。」
「自らの手で獲物を作り出し、それを獲って食うなどするのは貴様たち汚らわしい人間どものみよ!」
トロールさんは、そう言って、雄叫びを上げた。バリバリと体も空気も震えるような恐ろしい声で。
だけど、勇者様はそんなトロールさんを軽蔑するような視線で見つめて言った。
「デクのクセに、生意気だな。黙ってろ」
勇者様はバッと手のひらを前につき出す。火の玉がトロールさんの顔を直撃して、ズズン、とまた地面に倒れる。
「トロールさん!」
私はトロールさんに駆け寄った。
「トロールさん、大丈夫!?」
トロールさんは、大きな肩と胸を上下させている。苦しそう…!
「人間、スマナイ。オ前マデ悪ク言ッテシマッタ」
「そんなことどうだっていい!しっかりして!」
「羽妖精、人間ト一緒ニ、逃ゲロ…」
「トロール!」
「オイハ、コイツラト戦ウ…」
「無理だよ、勝てっこない!勇者様なんだよ!?魔王を倒したっていう、勇者様!」
「分カッテル…グフッ!」
「トロールさん!」
ザクザクと地面を踏みしめる音が聞こえて振り返った。
そこには剣を掲げた勇者様がいた。
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