966: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/12/14(月) 21:23:51.13 ID:jGgpJsLto
―――会いたかったよ、父さん、母さん
―――あのね、私はあれから大切な人達と会ったよ
―――大事な大事な仲間たちで、一緒にいると幸せな気分になるんだ
―――でもね、時々思っちゃうんだ
―――あの街に父さんと母さんも一緒にいてくれたら、どれだけ幸せだろう、って、ね。
ハラリと、目から涙が零れた。我慢なんて出来るはずがない。次から次へと零れ出てくる涙と一緒にずっとずっと堪えて居た思いが吹き出してくる。
―――父さん、畑のことを教えてくれてありがとう
―――母さん私に優しくしてくれて…守ってくれてありがとう
―――私…私ね…寂しくは、ないよ…
―――みんなと一緒だから、寂しくなんてないんだ。
―――でもね、でも、時々すごく会いたいって思うんだよ。
―――母さんギュッて抱きしめて欲しいって…
―――父さん手を握って一緒に畑の様子を見に行きたいって…
―――もう一度声が聞きたいって…
―――もう一度会いたいって…
―――そう、そう思うんだよ…
―――父さん…母さん…なんで…なんで…
―――なんで私を置いて死んじゃったの…?
―――どうして私を一人になんてしたの…?
―――寂しくないなんて嘘だよ…!
―――私、会いたいよ、会って二人にギュって抱きつきたいよ…!
―――父さん優しい声を聞きながら、母さん温かい肌に触れながら
―――また一緒のベッド三人で寝たいよぅ…
―――父さん………母さん………!
知らず知らずのうちに私はしゃくりあげ、まるで姫ちゃんのようにギャンギャンと泣きわめいていた。
二年間、ずっとずっと胸にしまってあった思いが弾けて、もう自分でもよく分からなかった。
でもとにかく、私は胸にポッカリと空いた穴を塞ぎたくって、必死になって骨壷抱きしめ、泣きわめいた。
どれくらい経ったんだろう。
それから私は眠ってしまったらしく、骨壷二つは妖精さんが運び出すための木箱に入れてくれて、私はトロールさんに背負われて宿へと戻ったらしい。
ベッド寝かされた私はそれでも眠り続け、荷物を届けてくれた道具屋の女将さんにも挨拶できず仕舞いだった。
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