過去ログ - 向井拓海「The Passion――判定は許さない」
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2014/10/06(月) 19:59:29.86 ID:hGctJzQM0
遠い、遠い昔。グーグル検索も百科事典もダブレットだって無い時代の話だ。
「可笑しいよね。最初にその毒茸を食べた人間は死んじゃったはずだよ。
見た事も聞いた事も無いのに、どうしてそれが毒茸だって分かるのかな?
嘘吐きは長生きできないよ」
以下略
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2014/10/06(月) 20:00:27.30 ID:hGctJzQM0
伝えるにしたって伝える中身が大切だ。
自分の死を伝える? 最後の最後まで自分の事しか話さねえんじゃ未来がねぇ。
自分語りは嫌われる。だから自分の死そのものではなく、死の直前を伝えるんだ。
自分が死なねばならなかった原因、そいつは毒茸。
以下略
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2014/10/06(月) 20:01:09.55 ID:hGctJzQM0
◆
「どっこいせっと。この区画はこいつで終わりだ、上がらせてもらうぜ」
壊れたブラウン管を軽トラの荷台へ積み上げ、現場監督のオッチャンへと声を掛ける。
以下略
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2014/10/06(月) 20:02:11.95 ID:hGctJzQM0
ん〜まあそうだな、3K仕事呼びでもあってるんじゃねぇのか? 今時は新3Kなんて呼び名もあって紛らわしいが。
誤解が無いよう無理して横文字を使ってみたんだが、やっぱ分かりにくいか。慣れない事はするもんじゃねえな。
……それでどこまで話したっけ? 頭痛が酷くてな、気を抜くと話どころか意識まで飛んじまう。
以下略
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2014/10/06(月) 20:02:56.94 ID:hGctJzQM0
それもこれも全部血が足りないせいだ。頭へ釘を打ち込まれたみたいに痛みやがる。
頭から血の気を抜くと話どころか意識まで飛んじまう。
……仕事の話だったよな。今は好景気で幾らでもバイトは選べるんだ。
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2014/10/06(月) 20:03:41.29 ID:hGctJzQM0
かつて不景気だったころ親父は労働組合の長としてリストラを交渉し、40人の社員を退職へ追い込んだらしい。
全部不景気が悪いのだろう、何もしなけりゃ5年と持たずに会社は潰れていたって話だ。
なるほど親父の行いは実に正しい。会社が潰れりゃ社員はみな路頭に迷う。
だから皆の生活を守る為、一部の人間には犠牲となって貰おうってこったな。
以下略
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2014/10/06(月) 20:04:55.87 ID:hGctJzQM0
あれから幾年も過ぎアタシは高校生になった。もう世の中の事を理解できても良い年齢のはずだ。
それでもまだアタシの胸にはコールタールみてぇなドロドロしたもんが渦巻いている。
なぜ親父があんな事をしたのか、なぜ親父がやらねばならなかったのか。アタシには納得が出来ずにいる。
以下略
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2014/10/06(月) 20:06:10.05 ID:hGctJzQM0
◆
「ふー食った食った。腹ぁ一杯だ」
バイトを終え、戦利品の弁当をかっくらい人心地が付く。
以下略
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2014/10/06(月) 20:06:58.50 ID:hGctJzQM0
「こそこそ〜、こそこそ〜。
もう大丈夫かな……おねえしゃんお仕事終わったよね……」
頭隠して尻隠さずって言うよな? 本人は隠れてるつもりなんだろうが、バレバレな状況。
バイトの最中にこちらを窺う誰かがいたのさ。かつてアタシが河原で負け犬達を観察していたみてぇによ。
以下略
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2014/10/06(月) 20:08:10.56 ID:hGctJzQM0
「ふぇぇん……ぐすっ……。ひぐっ……うぅ……。
ティッシュは……ポッケだ。取り出すには笹を置かないと。
でも、置いたら隠れられないよー。あっ、はなみず……あ……ずるっ」
痛みは恐れるものじゃない、それは肉体の正常な反射に過ぎない。
以下略
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2014/10/06(月) 20:09:07.10 ID:hGctJzQM0
アタシは何時だって恐れている。アタシの過去がアタシを塗りつぶす事を。
「誰だよおめー」
柔らかく声を出しこちらに敵意が無い事を伝えてみるも、エタノールの刺激臭がアタシをイラつかせる。
以下略
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