32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 22:01:57.62 ID:Ha53zHbko
「たまにね。ここにサックスを吹きにくる。夕方とか、夜とか。雰囲気あるだろう?」
「寒くないですか」
「平気さ。夏は蚊が出るからもうちょっと向こうで吹くんだが、秋から冬は高架下で」
楽しいよ、とサックスを二、三度試すように吹いた。
僕がなにも言わないのを見て、あいさんは一呼吸のあと曲を吹き始めた。
最初はそれが曲かも分からなかった。
冷たい水の底のような夜に怯えるような音。
高架の上を電車が通ると、もうなにも聞こえなくなった。
それでもあいさんは構わず続けた。
途切れ途切れの、亡き王女のためのパヴァーヌ。
隣に居る僕が耳を澄ませるくらいの、掠れたアルトサックスの響き。
なぜだか、泣きそうになった。
60Res/29.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。