186:名無しNIPPER[saga]
2016/02/25(木) 20:54:31.58 ID:ZfHVyDZr0
???「手術前にそんな表情を浮かべられる患者はそういないんだが……お嬢さんはアイツの何なんだ?」
そこには、手術衣に身を包んだ男の人が立っていた。
その人は横たわる私の隣に立つと、力強い瞳で私を覗き込んできました。
???「歳は同じくらいだろうが、アイツの娘ではないな……娘の友人といった所か?」
一体何の話をしているのか、見当もつきません。
その人の顔はライトの逆光の所為ではっきりとは見えませんが、チラリと垣間見えた力強い瞳だけが妙に印象強く私の脳裏に焼き付きました。
???「たった一度きりの『貸し』を使ってきたから何事かと思えば、自分はおろか、肉親でもないとはな……そのくせ手術だけは難題ときた」
一頻り話し終えた後、その人はようやく眩しさに目を細める私に向き直り、
???「お嬢さん。私はね、生きる意志の無い人間は助けないんだ」
そんな言葉を突きつけてきました。
当然、その場のスタッフ全員が驚いた声を上げる。
しかし、その人は動じた様子も見せずに私を真っ直ぐ見据え続けています。
だから、私もその視線から目を逸らすことはしませんでした。
???「あれだけ満足した表情を浮かべていたんだ。もう未練はないんじゃないか? このまま手術を行っても、お嬢さんに生きる意志が無いのなら意味がない」
海未「……」
???「一つだけハッキリさせておこうじゃないか、お嬢さん。とてもシンプルな質問だ」
なんてことはないと、世間話でもするかのように、その人は言いました。
???「生きたいか?」
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