過去ログ - 竜・少年 『「雨だ……」』その2
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39: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 22:22:24.42 ID:ZCApsEnL0
竜『(名前、名前…俺の名前……)』

竜『(そういえば…なんで少年は俺をあの名前で呼ぶのだろう。初めは適当に付けただけだと思ってたけど、もしかして少しは何か意味があるのかな)』

竜『訊きたいんだけどさ、どうして少年は俺にあんな名前を付けたの?』
以下略



40: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 22:30:30.11 ID:ZCApsEnL0
少年「あの時の君、とても怯えた目をしていた。突然来た僕にどう対処すればいいのかわからず、不安で一杯の視線を感じたよ」

竜『俺が、少年を怖がっていた…? そんなこと……』

竜『(……あったかもしれない。だって、あの時の俺は孤独という絶望的平穏が永遠に続くと信じていたから。ここにいる限り何も得られない代わりに何も失わずに済むと信じていたかったから)』
以下略



41: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 22:39:47.60 ID:ZCApsEnL0
少年「うん、あの時の君の目がさ、僕にはまるで生まれたばかりの子犬のように見えたんだ。家の外のものを怖がって、散歩に連れて行こうとしても玄関でうずくまってしまうような臆病な子犬。まあ見た目は全然似てないけどさ」

竜『"臆病な子犬"…? ……そうか、だから、だからこそあの名前なのか』

少年「ごめんね、こんなこと言われていい気はしないよな」
以下略



42: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 22:45:42.30 ID:ZCApsEnL0
竜『…………』

竜『(俺のこの姿は紛れもなく竜そのものだ。名前が姿形や能力を表すものなら俺はやっぱり"竜"なんだ)』

竜『(でも、俺が人を憎み、人を恐れ、人を恋しく思う気持ちに"竜"という名前は本当に相応しいだろうか)』
以下略



43: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 22:51:55.44 ID:ZCApsEnL0
♪飛び立てユークリッド空間

竜『……俺は今まで自分が竜というバケモノでしかないと思ってた。それがこの世界で俺に与えられた役割、いや"役名"だと思い込んでいた』

少年「他人に与えられた名前が自分に合ってると思えるならそれでもいいかもしれない。でももしそうでないなら、"自分は誰か"なんて自分で変えてしまえばいいよ」
以下略



44: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 22:58:30.97 ID:ZCApsEnL0
ポチ『……なんだかとてもすがすがしい気分だ。例えるならそう、まるで生まれ変わったような』

ポチ『(自分が竜だとか過去に何があったかなんて本当は関係なかったんだ。だって今の俺は"ポチ"だから)』

ポチ『今なら、今の俺なら本当の自分自身の気持ちと向き合える』
以下略



45: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 23:04:37.84 ID:ZCApsEnL0
弟「…何を、何を現実から目を逸らしているんだバケモノ?」

ポチ『! 何の事だ』

弟「わかってるだろ、お前のその感情は兄さんに向けられてるものじゃない、亡霊に向けられてるんだ」
以下略



46: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 23:10:13.90 ID:ZCApsEnL0
少年「あのさ、弟。僕が"少年"になれたのは弟のおかげでもあるんだ」

弟「…なんだよそれ」

少年「弟がその姿のとき本当に違う人に見えた。自分で新しい自分を作り出した弟を心から尊敬してた、だから真似させてもらった」
以下略



47: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 23:15:51.55 ID:ZCApsEnL0
弟「なに、何笑ってるんだよ…!」

男2「いや何、最初はミステリアスな女だと思っていたが実際はただのブラコンこじらせた弟だったとは。これが笑わずにいられるかってんだ」

弟「っ! こいつっ!」
以下略



48: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 23:22:55.28 ID:ZCApsEnL0
弟「…くそっ、何だお前、お前みたいなタイプ俺の周りにはいなかったのに」

男2「そりゃ残念。まあ何はともあれ本当のお前とやら知られちまったなあ、俺によ」ニヤア

弟「! ど、どうせもう会うこともないだろ。関係ないね」
以下略



49: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/10/25(土) 23:28:23.46 ID:ZCApsEnL0
弟「お、おま、おまままま」

《これから俺はどうすればいいんだよ!? 結局この格好だって居もしない女を演じているだけだ! 普段優等生を演じているのと何も変わらない! どっちも偽りの俺でしかないじゃないか!!》

弟「やめろおおおおおおおおお!」
以下略



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