過去ログ - 橘ありす「夏祭りの日」
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1:地の文注意です ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:30:53.98 ID:p7APovfi0


八月十六日
天気 晴 気温 平均三十三度
名前 橘

私はテレビ局の控え室で、ゲームをしてました。その終盤、CPUから最後の攻撃を食らいました。

チャンスはある。最後のトリガーを確認して__蘇生のカード。だめだ、勝てない。蘇生をしても、次のターンの打点には足りません。

負け演出まで見るのが億劫だから、アプリの動作を止めました。次のアプリは探しません。気を紛らわすという行為の生産性の無さに、呆れていたからです。

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2: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:34:01.12 ID:p7APovfi0


「あの程度ならファンサービスになる。テレビ的に美味しいし、新人の些細なミスなんて愛嬌のうちだ」

Pさんは涼しい顔でそう言いました。ディレクターさんだってそうでした。でも。
以下略



3: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:37:54.64 ID:p7APovfi0


「そのいじけ癖。いつになったら治るんだ……。放送倫理なんか、ありすの領分じゃない」

でも、ミスはミスです。そうPさんに言おうとしたけど、電話に邪魔されてしまいました。
以下略



4: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:40:15.89 ID:p7APovfi0


鬱屈をタブレットにぶつけて、その虚しさを嫌悪して辞めて。でも、結局また同じことをする。この繰り返しを、私はどれほどしたのだろうか。ついに次立ち上げるアプリを考え始めた時に、ドアノブが音をたてました。

「ありすちゃんっ、そろそろ帰ろっか」
以下略



5: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:42:51.12 ID:p7APovfi0


「Pにね、回収を任されているんだ。……来てくれるね?」

二人に迷惑はかけられない。そう自分に発破をかけて、私も帰るために出発しました。外はもうすっかり夕暮れていて、コンクリートには打ち水の跡がありました。


6: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:46:15.74 ID:p7APovfi0


:/

「アタシだったら、喜ぶ人多いと思うなぁ。結果オーライだっ」
以下略



7: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:52:17.54 ID:p7APovfi0


夏生まれが夏好きになるとは限りません。誕生日は、まぁいいんですけど……光さんから貰った、苺をモチーフにした南京錠のアクセを手の中で転がしました。

でも、それだけなんです。頭にじりじりと響く蝉の鳴き声が神経をすり減らし、照りつける太陽が活力を消耗させる。挙句、川で涌いた虫が、積極的に襲ってくる。夏っていうのは、まさしく生き地獄そのものだと思います。
以下略



8: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:55:55.22 ID:p7APovfi0


「そのストイックさは好きだよ。……だけれど、それは君を殺す生真面目さにもなりうる」

生真面目さに。昔Pさんに似た事ようなを言われた事がありますが、未だに意味が良くわかっていません。
以下略



9: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 17:59:14.29 ID:p7APovfi0


「……どうしても、本当にどうしても消したいなら、Pに相談する?」

光さんは不服そうに呟きました。
以下略



10: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:02:01.16 ID:p7APovfi0


「黄色に泉に……あれ?」

「漢字が伝来以前のものだから、仮名で表すと思うな」
以下略



11: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:06:21.86 ID:p7APovfi0


「凄いな、飛鳥は。 蘭子くらい詳しいんじゃないか? 」

「……はて? 何の事かな」
以下略



12: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:10:27.37 ID:p7APovfi0


「フ……なすべき事をなす。それだけさ」

「よくわかんないです」
以下略



13: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:14:14.59 ID:p7APovfi0


/:

「……ありす。お祭りは好きかい?」
以下略



14: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:17:57.05 ID:p7APovfi0

飛鳥さんは指をぱちりと鳴らしました二人からのお誘いなら、断る理由もありません。正直、そんな気持ちにはなりきれなかったけど……ここで断って和を乱すこともよく無いし、善意を素直に受け取ることも感謝であるとPさんに言われてるから、参加させてもらうことにしました。

……全く行きたくなかった、訳でも無かったかもしれません。私は仕事の都合に塾があるから、大人のよく言う『楽しい夏祭り』を、そもそも経験したことが無いんです。


15: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:22:15.19 ID:p7APovfi0


「でも、いいんですか?Pさんを待たせてしまいます」

「そのPにさ、出来るだけゆっくり来いって言われてるんだ。……ありすちゃんなら、わかるだろう? ……似てるかな、飛鳥?」
以下略



16: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:24:07.69 ID:p7APovfi0


三人で談笑をしながら、石段を登りきりました。左三つ巴と共に記された、大神社の名前に違わない立派な階段でした。

「中央通るのかい。ありすは勇敢だね」
以下略



17: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:27:05.24 ID:p7APovfi0


:/
石畳を挟んで林立する出店。それをつなぐ様に、提灯が点いたり揺れたりしています。八月の空の中では星、あるいはかがり火の様に映りました。

以下略



18: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:29:05.74 ID:p7APovfi0


ちなみにラムネは、売店の男性から「最後の一本だよ」と譲ってもらったものです。彼にとっての最後は、いったいいくつあるんでしょうか。

だいたい、どうして子どもから百万円をせしめようとするんだろう?あんなのがまかり通れば日本の通過制度は崩壊してしまいます。通産省は即刻規制をするべきです。
以下略



19: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:30:13.47 ID:p7APovfi0


「わ、笑わないで……おほっ!くだ、くださっ」

「笑ってないよ?ウェットティッシュ使うから、動かない!」
以下略



20: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:32:37.91 ID:p7APovfi0


体裁が保てるようになってから、「飛鳥さんって、お祭り好きなんですね」と質問しました。いつも大人らしい飛鳥さんがここまで遊んでるのが、本当に意外だからです。

「祭事はハレとケの、二つの世界がヴィヴィッドに交わるからね。人が寄り集まる事で生まれる非日常は、何物にも代え難い」
以下略



21: ◆RevGiOKgRo[saga]
2014/10/24(金) 18:34:42.94 ID:p7APovfi0
私用で少し落ちます。八時くらいに再開します


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