589: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2015/06/12(金) 05:04:52.34 ID:SXNr5Fz/o
●あいつと
教会の中。
唯一の手掛かりである、その建物の中へと進む事を決めた俺達。
カタコンペ…そう書かれた札の、更にその先にある階段を下りた場所で…俺達を待っていたのは、見覚えの無い一人の男。
顎からは黒く長い髭を伸ばしていて…背中から生えた翼は、男が獣人である事を示唆している。
ハレルヤ「君達は…何故生きて……んいや、蜘蛛の影響で並列世界から来訪したのか」
そして、男から放たれた胡散臭い声が俺の耳に届くのだが…目の前のこの男の正体に関しては、思わぬ所から答えが飛び出して来た。
ハル「ハレルヤ…ケイエル」
俺「………は?」
ハル「貴方も知っての通り…私をライトブリンガーにした黒幕にして、この世界を停滞の死に追いやった張本人です」
ハレルヤ「相変わらず…私の思想には賛同してくれないようだねぇ。現存するこの世界を見て、何故そんな言葉が出て来るのだろう、あぁ…判らない」
俺「いや、何言ってんだ。こんな世界を見て何にどう賛同しろって言うんだよ。こんな人っ子一人居ない世界の何が良いってんだ?」
ハレルヤ「君に至っては理解すら出来ないようだねぇ。まぁ良いだろう、簡潔な言葉で説明をしてあげよう」
俺「………」
ハレルヤ「蜘蛛…あれは、何らかの意思が持つ虚構の並列世界に巣食い、それを食らい糧とする」
俺「それは俺も知ってる。とある情報通から聞いたんでな」
ハレルヤ「では、その虚構の並列世界を生み出す物は何か…それもおのずと判るだろう?」
俺「人…と言うか、生きる物の意思だろ?」
ハレルヤ「その通り…では、その不確定なる混沌を浄化し、この世を秩序で満たしたのならば…」
俺「その世界を蜘蛛が狙う事は無くなる…そう言いたいってのか?ふざけんな!」
ハレルヤ「しかし事実、この世界は蜘蛛に襲われて居ない。君達のような例外を除けば、正に平和その物では無いか」
俺「馬鹿馬鹿しい。誰も居なくなって平和になった世界に何の意味があるってんだよ」
ハレルヤ「それは価値観と見解の相違と言う物だね。私は人にそれ程の価値を見ない」
俺「………」
と、いつまで経っても平行線のまま進まない話。
直接顔を合わせて居なかった元の世界でもそうだったが…やっぱりこいつとは判り合えないようだ。
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