598: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2015/06/20(土) 04:51:49.27 ID:JdQV9+5Jo
●おくのて
ディーティーAの身体に、竜の牙が食い込んだその瞬間…目の前には信じられない光景が描かれた。
ドライモンの体を貫く、光の刃…そして、その光の刃を担う………ハルの姿。
俺「なっ………何してんだよ!ハル!!そいつは根幹を食らう竜の力を得たカライモンだ!お前の敵じゃないんだぞ!?」
ハル「大丈夫、判っていますよ。ただ、彼女の早まった行動を止めようとしただけです」
静かに…冷淡な声で返すハル。俺はこのハルの声色の意味を知っている。
ハル「貴方も言ったじゃないですか、確証も無しに根幹を食らう竜の能力でディーティーを食らえば、本物のディーティーも消えてしまうかも…って」
気付かなかった…いや、違う。気付くだけの情報を幾つも得ながら、あえてそれを考えないようにしていただけだった。
俺「頼む、ハル…それ以上余分な事を言わないでくれ」
ハル「余分な…あぁ、私ってば駄目ですね。やっぱり貴方に嘘を吐くのは苦手みたいです」
多分その言葉自体は偽りの無い事実だろうが、ハルの意図はその声色から伺う事が出来てしまう。
そう…あの声色は………敵に嘘を吐いている時の声色だ。
カチリ…カチリ…と音を立て、頭の中で幾つもの違和感と伏線が噛み合って行く。
止めろ…止めてくれ。こんな謎解きはしたくない。
知りたくも無い答えだと言うのに、考え出してしまうとそれが止まらない。
ハル「さぁ、それでは全部片付けて帰りましょうか………私達の世界に」
俺「悪ぃがそれは出来ない」
ハル「どうしてですか?」
俺「説明しなくても判るだろ?それより教えてくれ………どうしても判らないんだ」
ハル「何がですか?」
何で…どうしてディーティーAと組んでるんだ?
ハル「………」
ハルはその問いに答える事無く…不気味な程に透明な笑みを俺に向けて来るだけだった
702Res/627.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。