過去ログ - 学校からの帰り道、死神に声をかけられた
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18: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2014/11/02(日) 21:12:13.09 ID:YGKY5GhXo

 呆けた頭で過ごす七時間弱はずいぶん早く過ぎたように思えた。
 朝いつの間にか学校にいたのと同じく、気づいたら放課のチャイムが鳴っていた。
 なんだか妙に感覚が遠いように思える。
 意識だけが別の世界にいて、そこから体を操縦しているような気分だった。

 全校清掃として割り当てられた東階段を箒がけしていると、喧噪に混じって声が聞こえた。
「やっぱりあれ、死んだんだって」
 学はびくりと手を止めた。
 顔を上げて声のした階下に目を向ける。

 声は心持ち低く抑えられて聞き取りにくかったが、確かに「死んだ」と言ったようだった。
 本当? と聞き返す相手に、そうなの、と最初の声は続けた。
「っていっても又聞きの話なんだけどね、とにかく車は運転席側がぺちゃんこでね、人が入る隙間もないくらいだったって。
 だから生きているはずないし、実際その後来た救急隊の人たちの雰囲気もなんかそんな感じだったらしいよ」

「そんな感じって?」
「なんかこう、あるじゃない。中見て首振るとか。多分」
「あー、なるほど?」

 二つの声はまだ会話を続けていたが、話しながら遠ざかったのか聞き取れなくなった。
 学は何もない踊り場を凝視したまましばらく微動だにしなかった。



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