過去ログ - 学校からの帰り道、死神に声をかけられた
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70: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:34:57.17 ID:VcLRD9MEo

 ……空が見えていた。
 夕暮れが近づくどうにもすっきりしない空。
 鳥が高いところに一羽、飛んでいく。

以下略



71: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:35:23.70 ID:VcLRD9MEo

 少しの沈黙。
 アケミがため息をつく。
「やるなら早くした方がいいよ。後ろ見てみ。待ったげるから」

以下略



72: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:35:50.33 ID:VcLRD9MEo

「ぐう……」
 何度同じことを繰り返したかもうわからない。
 ただ、いつのまにか起き上がれなくなっていた。

以下略



73: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:36:16.30 ID:VcLRD9MEo

 行かせてはならない。
 香奈を連れていかせるわけにはいかない。
 絶対に。

以下略



74: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:36:42.85 ID:VcLRD9MEo

「無理」
 即答だった。
「なんでだよ!」
「無理なもんは無理」
以下略



75: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:37:16.54 ID:VcLRD9MEo

「それだけ? それだけで仕事を放棄しろって?」
 学はうつむいた。
 これを言うのには勇気が必要だった。こんな時でも自分は臆病だと知った。

以下略



76: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:37:42.89 ID:VcLRD9MEo

 それまでゆる軽さのためにアケミを死神と意識したことは一度たりともなかった。
 だがその時の彼女の目は、確かに死神のものだった。
 人の命を刈り取る者の目。

以下略



77: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:38:09.79 ID:VcLRD9MEo

 ぽん、と頭を叩かれた。
「――なーんちゃって」
 はっと目を開けると、死神は悪戯っぽく笑っていた。
 学は一瞬ぽかんとした後……目から涙があふれるのを感じた。
以下略



78: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:38:49.77 ID:VcLRD9MEo

……

「死は人を選ばない。誰もが死に得るし、死なない人は一人もいない」
 夕暮れが空を覆っていた。
以下略



79: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:39:34.99 ID:VcLRD9MEo

「良い人は死んじゃいけないのかな。悪い人は生きてちゃいけないのかな。
その答えは知らないけど、いろんな人が死んできたことをわたしは知ってる」
 アケミはそう言ってネットから背を離した。
「そろそろ行かなきゃ」
以下略



80: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:40:06.66 ID:VcLRD9MEo

「わたし、カナちゃんを連れてくなんて一言も言ってないよ」
「……?」
「連れてくのはこの子」

以下略



81: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:40:39.40 ID:VcLRD9MEo

「いや、でも、ええ?」
 言葉のまとまらない学に、モモが嬉しそうに「ご注文どうぞー」としゃべった。
「ま、そういうわけ」

以下略



82: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:41:13.52 ID:VcLRD9MEo

……

「モモちゃんいなくなって寂しいね」
 空になった小さなカゴの前で香奈がつぶやいた。
以下略



83: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:42:14.79 ID:VcLRD9MEo

 本当は香奈には打ち明けようかと思った。
 今回あったいろいろなこと。
 いやまだ迷っている。
 ただ、すぐには打ち明けることはないだろうとも思う。
以下略



84: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:42:42.03 ID:VcLRD9MEo

「モモちゃんはさ」
 黙とうの後香奈が言った。
「死んじゃう前にわたしたちを仲直りさせてくれたのかもね」



85: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:43:08.82 ID:VcLRD9MEo

 庭に並んで座ると風が気持ちよかった。
 草が柔らかく手に触れてくる。

「なにしようか」
以下略



86: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:43:47.54 ID:VcLRD9MEo

 どこまでも伸びる道を一緒に歩きながら思う。
 人はいつか死ぬ。いつか誰もが死んでいく。
 不条理にして条理。
 不平等にして平等。
以下略



87: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/01/19(月) 15:44:14.65 ID:VcLRD9MEo
おわりさんくす


88:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 16:06:37.95 ID:hm6EWDey0



89:名無しNIPPER[sage]
2015/01/19(月) 16:39:43.23 ID:B9PAInoo0
乙 良かった 


90:名無しNIPPER[sage]
2015/01/19(月) 16:59:23.09 ID:jVgxIHutO

いい話だった


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