過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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101:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 00:13:48.53 ID:agZ8HDU50
戦士「すばしっこいな…!! 流石に猿の親玉か!!」

 水平に振るった剣の勢いを力ずくで斬り返し、今度は大上段から振り下ろす。
 魔猿は地を蹴り、体勢を戦士の方に向き直しながら跳躍。しかし今度はかわしきれず戦士の刃は魔猿の右肩を切り裂いた。

魔猿「オノレ人間風情ガッ!!」

戦士「剣の通りが浅いか……僧侶!! 私にも攻撃強化を!!」

僧侶「ええ、わかってる!! でもその前に……!」

 僧侶の杖から再び魔力が放出され、壁に叩き付けられた武道家の傷を癒す。
 武道家は何事も無かったかのように立ち上がり、拳を揺らしながら歩み始めた。

武道家「恩に着る。さて、魔猿とやら。もうさっきの大道芸は通じんぞ」

魔猿「チィィ!! 貴様ガ一番邪魔ダ、回復使イノ魔術師メッ!!」

 魔猿は戦士を無理やり押しのけ、僧侶に向かって突撃する。

戦士「行かせるかッ!!」

 戦士の一撃が魔猿の背中を裂いたが、魔猿は止まらない。

魔猿「死ネェッ!!」

僧侶「………ッ!!」

 僧侶の眼前に迫った魔猿の爪は、しかし僧侶に届かない。
 振るわれたその腕は、間に割って入った勇者の剣によって止められていた。

勇者「それだけは俺が許さねえんだよ…なぁッ!!!!」

 勇者はそのまま剣で魔猿の腕を切り払う。
 後ろに跳躍し、魔猿は勇者から距離を取った。
 勇者の剣と接触した魔猿の手のひらからは血が滴り落ちている。

勇者「思いっきり切ってやったのに、指の一本も落とせないか……」

 勇者の脳裏に蘇る、騎士の言葉。
 レベルの差が大きければ、通常与えられるべきダメージを、与えきることが出来ない。

勇者「だが、通じないほどじゃない。今回は勝てるさ…勝ってみせる…!」

戦士「当然だ!!」

 魔猿の眼前に迫った戦士が連撃を繰り出す。
 両腕を振るい、その剣を撃ち落としにかかる魔猿。

魔猿「ギェアッ!!!!」

 両腕から血を流しながらも戦士の大剣をさばき切り、魔猿は戦士の腹部に蹴りを入れる。

戦士「ぐッ……!!」

 戦士の体が吹き飛んだ。
 何とか空中で体勢を立て直し、戦士は両足で着地する。

戦士「ごふッ……!!」

 余りの衝撃に込み上げてくる吐き気を戦士は飲み込んだ。
 見れば、蹴りを受けた部分の鎧が歪に凹んでいる。

魔猿「マズハ一匹……!!」

 魔猿が追撃に移らんと戦士に向かって駆け出した。
 その視界が、突如炎の赤に染まる。

勇者「『呪文・火炎』……!!」

魔猿「ゴォ……オノレ……!!」

 顔に纏わりつく炎を振り払うように、魔猿は思い切り首を振り、その手で顔を掻き毟る。

勇者「まだまだ俺程度の魔力じゃそのまま焼き尽くすことなんて出来ないか……けど、かく乱と足止めなら、これで十分!!」

 ずぶり、と魔猿の額に刃が食い込んだ。
 武道家の肘が、魔猿の額に接触している。
 つまりは、そこから伸びた刃が、深々と魔猿の頭を貫いているということだ。



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